2011年03月22日

地震の発生原因⇒プレート説は本当に正しいのか?⇒「熱移送説」も

地震の発生原因として、プレートテクトニクス説が常識化していますが、一方で「プレート説は地震の原因を十分には説明できない」という問題提起もなされています。
埼玉大学の角田史雄名誉教授が提唱する「熱移送説」がそれで、地核で発生し地球の表面へと伝わる熱が、地震や火山の噴火を起こすという説です。

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『日経ビジネスオンライン』「プレート説は地震の原因を十分には説明できない」からの転載です。

埼玉大学の角田史雄名誉教授は、地震が起こるメカニズムを「熱移送説」で説明する。「地核で発生し地球の表面へと伝わる熱が、地震や火山の噴火を起こす」というものだ。この説に従えば、東日本では今後もマグニチュード6~7程度の余震が起こる可能性がある。同氏は「警戒を怠ってはならない」と警鐘をならす。
「熱移送説」はさらに、地震の世界で“常識”と考えられている「プレートテクトニクス説」は、地震の原因を十分に説明することはできないと指摘する。

「熱移送説」は、地核で発生する「熱」が地殻に影響して、地震を起こしたり、火山を噴火させたりすると考える。その概要を説明しよう。
熱移送説は、「熱で膨れた岩盤が割れる」という松澤武雄氏が説く「熱機関説」を理論的な根拠にして、深尾良夫氏らが作成した地球内の温度分布画像を基にして考えた仮説である。
地核で発生した高温の熱が、その外側にあるマントル、さらに外側にある地殻などを貫いて、地球表層部に伝わる。 この熱が、環太平洋沿いに伝わって、噴火や地震のエネルギーになる。このエネルギーによって、環太平洋ゾーンの地殻の最も外側にある「花崗岩質岩層」と呼ばれる固くもろい層が膨らみ、曲がり、そして割れる。この時に生じる揺れが地震となる。
これが、「熱移送説」の概要である。
熱移送説は、この地殻から伝わる熱が火山の噴火の原因でもあると考える。地核からの熱が摂氏400度くらいになると岩石は溶け始める。1000度になると、岩石は完全に溶けてマグマができる。この過程で、大量の火山ガスが生まれる。ガス圧が高まると、マグマなどが地表へ噴出して、噴火が起きる。
熱が伝わる経路に沿って、熱によって起きる地震と噴火も移動する。これらを、縦に発生場所の緯度、横に発生した日時を示す表に書き入れると、地震と噴火とは、1日に5kmずつ移動していることが突きとめられた。そうした移動が、1~1.5年ごとに繰り返し発生することも分かった。
つまり「熱移送説」は、地核からの熱が、地球表層部を伝わることで、次々に火山の噴火と地震とをペアで発生させていく、と見る。
さらに、この熱エネルギーが引き起こす地震や噴火には、以下の関係があると考える。
1)噴火の規模が大きければ、地下にたまったエネルギーが大量に使われるので、地震の規模は相対的に小さくなる。つまり、火山が噴火すれば、それが熱エネルギーの“ガス抜き”となり、巨大地震を発生させるエネルギーが減るのである。
一方、
2)熱移送量が多いのに、噴火がない、もしくは噴火の規模が小さければ、地震の規模は相対的に大きくなる。

今後も地震が続く可能性がある
こうした熱移送量には増減があって、1960年前後の10年間と、2000年前後の10年間とは、その量が最も多い時期であった。それを物語るように、M9クラスの超巨大地震は、これらの時期に集中している。熱移送説の観点から、火山と地震の動向を観察すると、今後も大きな地震の続く可能性がある。日本列島の周辺には、まだ、熱移送が行われている上に、岩盤には、多量の熱が残っているからだ。
地球内部にたまった熱の状態は、マントルトモグラフィと呼ぶ技術で、可視化できるようになった。この技術は、病院の検査に使うMRI(核磁気共鳴画像法)の技術を地震の研究に応用したものだ。この技術を使って、地球の中の地震の速度状態を分析できる。それが速ければ冷たく硬い部分、遅ければ、温かく溶けた部分と読み換えられるから、熱の状態も画像化できる。その画像では、環太平洋地域の地下50~200キロの部分に多くの熱がたまっていることが分かる。
関東・東北では、今回の超巨大地震の前に、地震と噴火の移動が何回も繰り返えされた。これは熱移送が多かったことを示す。その状況で、大きな噴火は三宅島以外になかった。関東・東北の地下には、地震を起こすエネルギーがため込まれて、高圧釜状態だった。上に載る「花崗岩質岩層」は、真ん中が厚く、日本海沿岸と太平洋沿岸が薄い。高圧で押し曲げられたこの岩層は、その厚さが薄くなる太平洋沿岸域で大きく裂け、超巨大地震が起きた。
裂けた岩層ブロックには、大きな余震を次々に起こすだけのエネルギーが残っていて、西隣の関東・東北の岩層ブロックを突き動かしている。突き動かされた関東・東北の岩層ブロックは、その縁が激しく揺れ動く。そのため、縁に当たる南北海道、東北の日本海側沿岸、北陸、信越、南関東、東北の太平洋沿岸では、後続の地震の起こる可能性が高い。
実際、3月15日の夜、静岡県東部で“余震”が発生した。富士宮市で震度6を記録したものだ。さらに、この後、千葉や茨城でも余震 が発生している。こうした超巨大地震のエネルギーが弱まるには1年ちょっとの時間が必要だ。その意味では、この後の1年あまり、これらの地域では、マグニチュード6~7程度の余震に要注意である。
後続の地震を、引き続き警戒しなければならない。

「プレートテクトニクス説」では原因を十分には説明できない
プレートテクトニクス説では、さまざまな地震の発生メカニズムを十分に説明したり、十分な対策を立てたりすることは難しい。
プレートテクトニクス説は、日本の周辺で起こる地震のメカニズムをおおむね以下のように説明する。
1)徐々に北西に移動する太平洋プレートが、日本列島側のプレート(東日本は北米プレート、西日本はユーラシア大陸プレート)の下に沈み込んでいる。
2)太平洋プレートと日本列島側のプレートが接している部分に摩擦が生じるため、日本列島側のプレートは太平洋プレートの動きに引きずられて、たわむ。
3)日本列島側のプレートが持つ「元に戻ろうする力」が摩擦の力を超えると、日本列島側のプレートが上向きにずれ動き、地震が発生する。

こうしたプレートテクトニクス説では、地震の原因を十分に説明することができない、とする理由は3つある。
第1は、プレートテクトニクス説に基づいて大規模な地震が警戒されている南関東において、30年にわたって大地震が起きていないことだ。測地学審議会は2004年、地震観測強化地域から同地方を外す決定をした。
一方、南関東や東海地方ほど警戒していなかった東北地方において、マグニチュード9という超巨大地震が発生した。東北地方にこれほど大きなエネルギーがたまっていることに、なぜ今まで気づかなかったのか? 今の観測体制では、プレートとプレートの間にたまるエネルギー量を測定できないから、エネルギーがたまっているか否かを判断できない。従って、十分な対策を講じることができない。
ちなみに、1933年3月に起きた三陸沖地震のM8.1だった。今回の超巨大地震はM9.0で、M8.1の約32倍に相当するエネルギーを持つ。M9はM8の32倍、M8.4はM8の4倍である。第二次世界大戦の時、広島に投下された原爆のエネルギーはM6.0相当で、M8の約1000分の1程度でしかなかった。今回の超巨大地震がどれだけ大きな破壊力を持っていたかが、これらの数字からうかがえる。
第3の理由は、今回の超巨大地震が、太平洋プレートと北米プレートの境界面とは異なる面で裂けて生じていることだ。名古屋大学が管理する「地震学ノート」によると、北米プレートの中の裂け目が震源断層だという。そして、次々と起こる余震も、2つのプレートの境界面とは異なるところに集中している。これらのことから、今回の超巨大地震とプレート境界との関連がつかめないのである。
プレートテクトニクス説は1960年代に登場した説だ。1970~80年代にはその当否について、専門家が様々なかたちで検証作業を行った。そして、その提唱者の一人である上田誠也氏も、未確定なことが多く残されている、と述べている。この説を常識として無批判に受け入れるのではなく、事実ともっともよく合う説を、常に追い求める姿勢が大切だ。
また、地震の気配を感じられる何か、あるいは、少しでも地震の被害を減らせる何かを、みんなで探すことが必要であろう。(談)

熱移送説を提唱する角田氏の著書『地震の癖』に対するAmazon書評から引用します。

・むしろあれだけプレートから離れているのに、どうやって地震のエネルギーが伝わってきたのか?こじつけのような説明に多少の違和感を感じていました。他にも四川大地震はプレート理論では中々説明がつきません。 ところがこの著者の理論にそって考えると、様々な地震の謎が解明されていきます。しかも四川大地震をある程度予測されていたことはもちろん、著書の144・146ページでは今回の大地震の予測をある程度行っています。
・「地震の起こる原因がプレートだとした場合、地質学上、説明困難な場所が数多く存在します」(20ページ)と指摘した上で、「2008年5月に巨大地震が発生した中国中西部の四川省もそうした場所の1つです」と証拠を挙げる。
・著者の研究によると、「火山活動と地震活動を順に追ってプロットしていくと、そこにはある種の規則性があることがわかります。私はその規則性を『地震の起こり癖』と呼んでおり、最終的には地震予知に応用できると考えています。つまり、熱移送で生ずるマグマの動きを、火山情報を基に追跡していけば、その後に起こる地震をかなりの精度で予知できる」(35ページ)というのだ。
・「地震の発生地点を線で結ぶと、1つのブロックになります。これは「地塊」とも呼ばれます。日本列島にはこのようなブロックがいくつも存在し、お互いに接しています。そして、ブロックの境界面が地震発生層を切る大地の弱面になっている」(120ページ)という。「ブヨブヨな岩石層の上に載っている『起震地塊』群は、高温化をきっかけに揺れ動き、徐々にその動きを大きくしていく」(126ページ)と考えられるそうだ。
・地震発生のメカニズムの王道はプレートテクトニクス論ですが、今回の東北太平洋地方大地震の海溝型地震と長野北部の内陸型地震の併発は説明しきれていません。 この本ではプレートのズレではなく、地球内部の熱移送により、地震発生を説明する試みをいています。それによると東北の地震の癖は、沿岸部で起きた巨大地震と共に内陸部で地震が連動して起る、というものです。データによると巨大地震のあと、1年以内に内陸部で地震が起っているそうです。

確かに、1995年の阪神淡路大震災などもプレートテクトニクス説では説明がつきにくいようにも思います。一方、プレートテクトニクス説の方もその補強説とも言えるアスペリティ(プレート相互が引っ掛かる場所)説が提起されているようですが『EARTH,OCEAN,and LIFE』「地震のしくみと地震予知(1)」、プレート説だけでは説明できない現象が多々ある以上、この「熱移送説」も検討に値するのではないでしょうか。
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List    投稿者 staff | 2011-03-22 | Posted in 10.日本の時事問題1 Comment » 

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コメント1件

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