ロンドンサミット
こんにちは
アンディです
。
前回の記事 [1]では、
ビルダーバーグ会議を取り上げ、イラク戦争以前までは米欧は協調していたが、今世紀に入って米国のなりふりかまわない横暴性を見かねた欧州勢は、06年以降、米国に対して「政治的圧力」を加えるようになった、と述べました。
これは、ロックフェラー陣営=アメリカ一国主義に対する、ロスチャイルド陣営+欧州貴族の包囲網に他なりません。
今回は、「経済的圧力」(ドルに変わる基軸通貨体制への移行)の観点を切り口に米国包囲網が敷かれる現在の世界状況を見ていきましょう。まずは、2008年世界経済が激震に揺れたリーマンショック直後の状況を、各国首脳及び最高機関の発言から確認していきます。

■各国の首脳及び機関紙の発言(2008年リーマンショック以降)
ブラウン英首相
〇2008年10月15日、ブラウン英国首相の発言。
「国際金融体制を安定させるための、第2のブレトンウッズ会議を早急に開こう」
引用:るいネット『ドル崩壊後のシステム画策か?~田中宇:「ブレトンウッズ2」の新世界秩序』 [2]
〇2008年10月24日、中国共産党機関紙の人民日報1面の記事
「現在の悲惨な状況に直面して、人々はようやく米国が自国通貨の優位性を利用して世界の富を搾取していたことに気がついた」
「米ドルは信頼を失いつつある。世界は早急に、国際機関を通して民主的かつ合法的に、米国一国支配の経済構造と米ドルの優位性の上に立脚している現在の国際金融システムを変えなければならない」
引用:るいネット『人民日報の石建勲論評の衝撃 – 「米は世界の富を搾取していた」②』 [3]
またこの時、ロシアのメドヴェージェフ大統領、インドのシン首相も、現在の金融体制の本格的な機構改革を支持する発言をしている。
・ブレトンウッズ会議とは
1944年に会議が開かれたThe Mount Washington Hotel
第二次世界大戦末期の1944年7月、アメリカ・ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで開かれた連合国通貨金融会議(45ヵ国参加)で締結され1945年に発効した国際金融機構についての協定である。この会議により、
英ポンドから米ドルへの基軸通貨体制の移行=現在のIMF体制の設立。
↓
米国の経済覇権を決定した。
詳しくはこちら→リンク [4]
■ロスチャイルドの多極化戦略
第二のブレトンウッズ会議を開こうとする欧州勢、そしてそれに賛同する中国、ロシア、インド・・・。
これは、現在のドル基軸通貨体制を見直し、「アメリカ一国主義」から「世界多極主義」へと舵を切ろうとするロスチャイルド陣営の世界戦略である。米国(=ロックフェラー)の反発は当然予想されるが、世界の趨勢は確実にロスチャイルドに傾いている。
実際、ブラウン英首相の発言から2年が経過した2010年現在、彼らの戦略は着々と時計の針を進めている。
昨年3月のG20ロンドン・サミットでは、
2012年までに新たな銀行自己資本規制を実施する。
2012年末までに店頭デリバティブ市場を規制することや、銀行の過度のリスクテークに対する巨額報酬の制限を実施する。
といった金融規制強化政策が各国の首脳声明として謳われた。

また、今年10月23日までに行なわれた韓国・慶州での財務大臣レベルのG20経済政策会議では、
IMFにおける新興国の発言権を拡大すること で合意している。
国際通貨体制の再構築には3つのフェーズがある。
第一は、空売り規制やヘッジファンド規制や格付け会社規制などマネー暴走を防ぐ国際監視体制の強化であり、第二は、IMFに新興国の関与を明確にさせる体制改編であり、第三は、ドルに替わる新しい国際基軸通貨の制定である。
2010年現在、第二フェーズまで、時計の針は進んだと言えるだろう。
11月の韓国・ソウルで開催される首脳レベルでのG20サミットでは、更なる進展があるかもしれない。
参考:ロイター通信 リンク [5]、リンク [6]
■着々と準備をしてきた欧州貴族
前回記事のビルダーバーグ会議における政治圧力、そして今回のG20サミットにおける金融規制政策の合意・・・。
これらの流れを見ると、国際情勢のパワーバランスは、リーマンショック以降、突如として欧州勢の発言力が上昇したと思われるかもしれないが、決してそうではない。
ロスチャイルドの背後にいる欧州貴族は、長い間周到に戦略を練っていたのである。
以下、るいネットより引用。
『’10年夏なんで屋劇場ノート4~40年の長期戦略を持ってEU統合と世界の多極化を進めてきた欧州貴族』 [7]
欧州貴族たちはこの日米における金貸し2大勢力の覇権闘争を横目で見ながら、どのような戦略を練ってきたのだろうか。
ここで、「新自由主義」が台頭する以前の欧州は、社会民主主義路線あるいは福祉主義路線であったことを押さえておく必要がある。支配の歴史の浅い、ロックフェラー勢に対して、ロスチャイルドで200年、欧州貴族は400年の歴史を持つ。ロックフェラー勢が支配者としては未熟で野蛮であるのに比して、欧州には永い支配の歴史があり、欧州貴族は福祉という飴玉を与えることで支配の安定化を図るという成熟した高等戦略をとる。つまり支配の歴史がある分、欧州貴族の方が「長期の戦略家」としては一日の長があると見るべきであろう。
事実、欧州勢は石油ショックに引き続いて、’90年東西ドイツ統合、’91年ソ連邦崩壊、’93年EU発足と、欧州統合に向けて着々と足場固めに入っている。欧州勢は、80年代初頭には、アメリカの落日を認識し、一方では欧州統合を進めつつ、BRICSの市場化戦略(世界の多極化戦略)を進めて来たとみていいだろう。
ロスチャイルドが支配するロイター通信は、10月29日現在G20の特集を組み、各国のGDPの比較と共に、さりげなくEU全体のGDP総額を第一位のように載せ、次の世界体制の中心が誰であるかを誇示している。⇒リンク [8]
1950年のロベール・シューマンによるシューマン宣言によって、1つのヨーロッパというその構想が起草されて以来、60年をかけて現在の統一政府戦略を実現させているのである。

そして、欧州勢が起点となり始まったG20という新たな枠組みは、現在のところは、経済政策の分野のみ世界政府として機能しているが、
アメリカが弱体化するドル暴落以降は、G20が国際政治の世界の最高意志決定機関である国連安保理に取って代わり、経済だけでなく国際政治の新しい枠組みが提唱されると予測される。
次回の最終回は、ロスチャイルド+欧州貴族が多極化戦略を進める現在の中で、未だアメリカべったりの日本が進むべき道について書いていきたいと思います。
来週もお楽しみに
1944年に会議が開かれたThe Mount Washington Hotel