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激化する米中対立 キャスティングボードを握っているのは日本

日本の米国債保有残高が、中国を追い抜き世界第一位となった。
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(画像:WSJ [2]
日本が保有する米国債は、2001年までは3000億ドル(約30兆円)を上限としてきたが、小泉首相就任以降(2001年~)急速に保有高を増やし、2004年には約7000億ドル(約70兆円)もの米国債を保有していた。中国は貿易黒字の蓄積とITバブル崩壊によるドル安人民元高の流れを抑えるため、ドル買い(人民元売り)を続けてきた。
日本の財政基盤の弱体化及び中国の為替介入の必要から、2008年以降は中国が米国債の最大保有国となっていた。それが、2009年11月以降、米国債を売り始め、12月には保有高で日本がトップに立った。


いずれ紙切れになる米国債を、中国が売り、日本が買い支えているという構図が透けて見えてくる。
中国は毎月100億ドル以上売り、それを日本が買い支えている。日本の資金源は亀井金融大臣が明言したように『郵貯・簡保』の資金だろう。
■中国の動き
中国-ASEAN自由貿易地域始動 人民元が第3の基軸通貨となる [3]でも紹介したように、2010年から中国・ASEAN自由貿易地域(CAFTA)が始動している。この圏内の一部では既に『人民元』が決済通貨として使われており、アジア地域の貿易からドルを追放し、中国中心の経済システムを構築しようとしている。
今後、ドル、ユーロに続き、人民元を第3の基軸通貨とするためには、ドルの影響を極力排除しなければならない。その実現に向けて、ドル・米国債を手放しておく必要がある。但し、暴落されるとアメリカも中国も困るので、日本に買い支えさせ、ソフトランディングさせる目算なのだろう。
■アメリカの動き
ドル離れを加速させる中国を、アメリカは明らかに牽制している。
1月中の動きだけでも「Googleが中国から撤退」「アメリカが台湾に武器輸出」「オバマ大統領がダライ・ラマと面会約束」など、明らかに中国を刺激するような行動が目立っている。ドル基軸通貨体制を軸とするアメリカと中国との経済関係のフレームの中で、駆け引きを繰り返している。
■日本は?
「米国債の引き受け」という(押し付けられた)役割を担わされている日本は、本来なら中国に対してもアメリカに対しても有利な外交カードを握っていることになる。
特にアメリカにとっては、日本が中国と手を組むことを、かなり警戒しているはずだ。アメリカは、日本が中国と手を組まれることを恐れて、台湾へ武器輸出し軍事的緊張感を作り出すことくらいしかできない。
しかし、残念ながら、中国と手を組んでアメリカを牽制できる日本の政治家は、ほとんどいない。小沢一郎が中国へと急接近したが、東京地検によって潰され、取引されてしまった。
アメリカは、日本の資金が無ければ、ドル基軸通貨体制をソフトランディングさせることは出来ない。中国は、日本の資金と技術が無ければ、持続的な経済発展を遂げることはできない。米中関係のキャスティングボードを握っているのは明らかに日本。 なのだが、世界の潮流を読み米中を股に掛けて戦略を組み立てていくことは、現在の試験エリートには無理なのだろうか。
(ないとう)

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