- 日本を守るのに右も左もない - http://blog.nihon-syakai.net/blog -

アメリカ崩壊後の世界~イスラム世界の可能性は?

pic_islam.jpg
目前に迫るドル暴落・アメリカ崩壊後の世界において、人々が奪い合い殺し合う事態が起きるのか、調和的な世界に移行するのか、その大きな鍵を握るのが世界人口65億人の約20%を占めると言われるイスラム世界の動向です。

(赤がキリスト教徒、緑がイスラム教徒の割合です)
Christ_Islam.png

民主主義や人権といった西洋的価値観とは相容れず、日本人にもなじみの薄い彼らですが、その本源性には大いに着目すべき点がたくさんあります。

そこで、るいネットを中心にイスラム世界を読み解くための手がかりとなる記事を紹介します。

その前に、クリックお願いします。


イスラムが残している本源性に着目した投稿

「イスラムに学ぶ」 [1](復讐の叫び さんの記事)

今後の激動の時代にあって、日本人はモノ・金に執着せず、断食など厳しい戒律を守るイスラームの教えとイスラームの精神を順奉し、これを実践すべきである

日本とイスラーム(同じく復讐の叫び [2] さんの記事)

日本とイスラムとの共通性は、信義、礼節や救済と喜捨と共同体としての規範がしっかり確立されているところ

日本とイスラーム [2](上記記事が引用しているサイト)

イスラムの本源性~喜捨、そして一夫多妻~ [3] (Lucky さんの記事)
イスラムの本源性についてのキーワード、「喜捨」(ザカートとサダカ)「一夫多妻」について
イスラムでは富の死蔵や不当なやり方による利益の蓄積が禁止されているそうです。
また、一夫多妻は男に都合の良い制度ではなく、男の体力・経済力はもちろんのこと、それぞれの妻に対して公平で公正な対応が必要とされており、一対婚制度よりも高い本源性が求められるようです。

このような教えの元、不毛の地ヨーロッパに対して、地中海沿岸地域とインド・中国の交易を支配していたイスラムは経済的に大きな力を持っていました。
こうしたイスラム世界の支配に対し、中世ヨーロッパでは10世紀から執拗な侵略を開始します。下は十字軍遠征のルートです。(別窓で開きます)

画像の確認 [4]

「イスラム世界が経済発展していたのはなぜか? (田舎に過ぎなかったヨーロッパ)」 [5] (内藤さんの記事)
イスラムが交易ルートを独占する中、辺境の地ヨーロッパが略奪の魔の手をアフリカに求めた大航海時代はどのように始まったのか、がわかりやすく書かれています。

度重なる十字軍遠征にもかかわらず、オスマン帝国は20世紀初頭まで存続し、陸路をふさがれたヨーロッパ世界は大航海時代を迎えアフリカ・アメリカ大陸へ進出することになります。

イスラムの規範性は、経済の分野でも顕著に見られます。イスラム教を開いたマホメット自身が商人であり、その預言には商行為と共同体規範を統合するための教えが書かれています。

「イスラムの可能性を探る」 [6] (田野さんの記事)
ドル暴落によって世界の混乱が起きる危険性が高まる中、注目されるイスラム経済について日経の記事を引用しています。

それによると・・・

イスラム金融の総資産は約5000億ドル、毎年20%づつ増加
イスラムでは政治・経済の全てがイスラム法に基づいて正しいか、法学者によるチェックが行われ、例えば投機や酒、豚肉、賭博、ポルノ関連の事業への投資は基本的に禁止され、誠実・公平・扶助の精神が問われる
イスラム教徒の義務、「礼拝」「巡礼」「断食」「信仰告白」「喜捨」の内、「喜捨」は事実上の租税として機能しかつ社会保障としての役割を持っている。
イスラムでは労働を尊重、商業は肯定される。商業流通網と同様に手形や為替、簿記などの経済制度も古くから整備されている一方、労働せずに預金して富を死蔵することや、金を貸しつけて儲けたりすること-先物取引やデリバティブ-は認められない。
日本は構造改革・グローバルスタンダードと称して、西欧式式金貸し支配の構造を必死になって輸入したあげく、今回の経済危機の直撃を受けましたが、そのやり方は、イスラム世界では違法と見なされていたのです。

アメリカを先兵とした金貸し勢力がイスラエルを支援し、イラクやアフガンに介入してイスラム世界を攻撃する根本的な理由は、実はここにあるのではないでしょうか。

逆に考えれば、イスラム世界から西欧の金貸しが支配する世界を眺めた時、そこではイスラム法の原理に反する不道徳な行いが美徳とされている、ということにもなります。

日本では戦後一貫して民主主義だの男女平等だの自由主義経済だのを採り入れ、未だ十分でないなどと言われたりしていますが、実は、そうした批判が行われる理由は、日本において本源性がまだ失われていない証しと言えるかもしれません。。

しかし一方で、イスラム世界が「近代化」に遅れているというのもまた事実です。この原因を晴耕雨読さんのサイトで小室直樹氏の著作を引用して分析しています。

イスラム世界が「近代化」に“失敗”したわけ [7]:晴耕雨読
簡単に要約すれば・・・
近代化を行う最大の障碍となるのが、イスラム教そのもの
資本主義を徹底し「貨幣供給量=需要財量」の壁を突破(=近代化)するには外部の共同体から富を奪う必要がある。
近代化とは、内なる共同体の構成員を賃金労働者に解体しつつ外部の共同体を利潤を吸い上げるために同じく解体することを成立条件とし、中央銀行を始源(頂点)とする詐欺的金融制度を必要とした
イスラムの共同体性原理はこの様な反共同体を孕む「近代」=産業力の近代的発展を志向したり許すことはない

晴耕雨読さんの分析では、「現在のイスラム世界は近代に対するこうした根底的な批判まで至ってはいない」と観ています。

金貸し支配が生み出した「近代国家」の人間も経済も行き詰まっている現在、イスラム教の共同体原理が、市場の崩壊する混乱を脱し、「近代」を超克し新しい共認原理の社会を生み出せるかどうか、これは同じく日本もまた試されているといってよいのではないでしょうか。

[8] [9] [10]