前回に引き続き、エネルギー問題について考えていきたいと思います。
日本は、エネルギー供給の8割以上を海外からの輸入に依存していますが、輸入に頼っているエネルギー資源は、いつまでも無限にあるわけではありません。限られた量しかないというのが現実です。
エネルギーの世界流通は、国家間の政治的、経済的な状況に大きく影響されることを踏まえれば、、エネルギー供給の8割以上も輸入に頼っているという状況は極めて不安定な状態にあると考えることができます。
また世界のエネルギー消費は、近年急激な増加を示しており、消費されるエネルギーのほとんどが石炭・石油・天然ガスという化石エネルギーであり、残りを原子力や水力等が担っています。
このエネルギー(特に化石エネルギー)の大量消費の結果、先進工業諸国は飛躍的な経済成長を遂げ、人々は豊かな生活を享受することができるようになりました。
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しかし、それが可能になったのも限りある資源を使って可能だったことを忘れてはいけません。
そこで今回は、統計データから見る地球のエネルギー残量(主に資源)について勉強してみたいと思います。
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■石油 → 残り:40.6年(2005年時点)
世界の原油確認埋蔵量は2005年末時点で1兆2,007億バレル。
これを原油生産量で除した可採年数は40.6年となります。
※ただし回収率の向上や追加的な石油資源の発見・確認によって、1980年代以降、可採年数はほぼ40年程度の水準を維持し続けています。しかし、この状態が永続的に続くとは限りません。
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第5位までを中東産油国が占めており、OPEC6カ国だけで、世界全体の石油確認埋蔵量の約2/3を占めていることになります。
非OPEC産油国では、旧ソ連諸国、アメリカ、メキシコなどが主要産油国ですが、全体的に見ると圧倒的にOPEC産油国、特に中東OPEC産油国の資源保有が大きくなっています。
■天然ガス → 残り:65年(2005年時点)
世界の天然ガスの確認埋蔵量は、2005年末で約180兆m3であり、旧ソ連、中東及びその他の地域におおむね3分の1ずつ存在しています。石油の約62%が中東に存在していることと比べると、地域的な偏りは小さいと言えます。しかし、天然ガスの可採年数は、2005年現在の計算でいくと65年となります。※またLPガスは、採掘された原油・天然ガスから生産・供給されるので、LPガスの生産可能年数は、原油・天然ガスの可採年数と同じと考えることができます。
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■石炭 → 残り:155年(2006年時点)
石炭の可採埋蔵量は約9,091億トンです。
石炭の持つメリットとしては、石油、天然ガスに比べ地域的な偏りが少なく、世界に広く賦存していることを挙げることができます。更に日本にとっては中国、オーストラリア、インドネシアなど環太平洋地域において石炭が多量に産出されることも大きなメリット。また、可採年数(=可採埋蔵量/年産量)が155年(BP統計2006年版)と石油などのエネルギーより長いのが特徴です。
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■原子力 → 残り:83年(2004年時点)
ウラン資源は世界的に広く分布しており、カナダ、オーストラリア、カザフスタンなどが埋蔵量、生産量ともに上位を占めています。既知資源量を2004年の需要量で割ると、残り83年となります。※高速炉サイクルの実用化によるプルトニウム利用によりウランの利用年数は約2,550年になると算定(出典URANIUM2003)されていますが、他のエネルギー資源に比べて危険性が非常に高い。
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1951年、世界初の原子力発電がアメリカで開始されて以来、2度の石油ショックを追い風として世界各国で原子力発電の開発が積極的に進められてきましたが、1980年代後半からは世界的に原子力発電設備容量の伸びが低くなっていました。
しかし、近年世界的に原子力見直しの気運が高まっており、アジア地域では、着実に原子力発電設備容量が増加しています。原子力開発が順調に進んでいるアジア地域だけでなく、欧米諸国においても原子力発電所建設計画の着実な進展が見られます。
一方、ウラン価格は、1970年代特に第一次オイルショック後の原子力発電計画の拡大を受けて上昇しましたが、スリーマイル島事故、チェルノブイリ事故を経て下落し、低価格で推移してきました。近年、ウラン価格は再び上昇しています(第222-4-6)。
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これは2001年のオリンピックダム鉱山(オーストラリア)の火災、2003年のマッカーサーリバー鉱山(カナダ)、2006年のシガーレイク(カナダ)の出水事故等の短期的な要因に加え、解体核高濃縮ウランや民間在庫取り崩しなどの二次供給の減少や中国、インド等の需要増加の見通しなどから需給逼迫が懸念され、世界的なウラン獲得競争が激化していることに起因していると考えられています。
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以上、『地球のエネルギー残量』について見てきましたが、化石エネルギー以外でも、例えば、水力発電には河川及びその流域の自然環境の破壊、原子力発電には放射能汚染の懸念、風力発電には騒音・景観・鳥への危害等の固有の環境問題があります。
つまり、人類にとって環境とエネルギーの問題は一筋縄ではいかない困難な課題なのです。
また今後、人口が急激に増えることは既に予想され、生活レベルの向上のために経済成長を目指している途上国も経済成長につれて膨大なエネルギーが必要となるといわれています。
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図2 世界の人口予測
提供:(財)日本原子力文化振興財団:「原子力」図面集-2005-2006年版-(2006.1)(同CD-ROM)
産業革命以前は地球上の人口は少ししか増えず、18世紀初めには約6億人であったと言われています。産業革命以後、人口は急激に増え始め、今(1999年)では、約60億人がこの地球上に住んでいます。つまり、人類誕生以来18世紀までに数百万年かけて6億人に増えた世界の人口が、産業革命以後のほんの300年間で50億人以上も増えたことになるわけです。
さらに、21世紀の地球上の人口は、2050年には約90億人にも達し、その人口増加の多くの部分が途上国で占められると予想されています。
このように人口爆発を背景として、経済成長・維持(市場拡大)のために、資源・エネルギーを大量消費せざるを得ない状況が続いています。そしてこのエネルギーの大量消費によって環境の悪化が引き起こされています。
①経済発展
②資源・エネルギー
③環境の問題
この3つは密接な関係にありますが、どちらかをを優先すれば片方が立たないという、トリレンマ問題に陥ってしまいます。(トリレンマ問題trilemma:ジレンマが二つのものの間で迷うことに対し、「三つの矛盾、三重苦」のこと)とも呼ばれています。)
今後の社会の中で、この3つの関係をどのようにバランスさせていくかは、日本を含めた先進国のエネルギー政策に命運がかかっています。今のままでは、3世代先の将来像が描けなくなってしまいます。
先進国は、多数の後進国から収奪した冨を原資にすることで成長できましたが、将来的に55パーセントにも達する先進国+中進国は今後いったいどこから搾取して成長の原資を作り出すのか?
そもそも、地球の半数以上の人間が富めるだけの資源とエネルギーなどこの地球上に存在しないのです。
いずれにせよ、これからの人類は、地球という限られた空間で生きる限り、経済、エネルギー、環境のバランスをとらなければならない課題に直面しているということなのです!
~続く~