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『国際金融機関どうなる?』19.自由為替相場を廃した地域通貨バスケット制度へ

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『国際金融機関どうなる?』18.
~金貸しは固定相場の元、世界経済を成長させ、変動相場で一気に刈り取る~

より
>実態とかけ離れる固定相場も×、金貸しに好き放題にされる変動相場も×。とすれば、金貸しを規制しつつ調整も出来る制度が必要です。その一つの事例として《通貨バスケット制》というシステムが現在注目されているそうです。ではその通貨バスケット制とはどんなシステムなのか?を明日は探って行きたいと思います。
というわけで、ここでは今後の為替の方向性としての地域通貨バスケット制度の可能性を探ってみたいと思います。
今回は、ユーロの前身である欧州通貨制度(EMS)を例に取って、検証してみます。
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まず、通貨バスケット方式では大きく2段階のステップがあります。

通貨割合と通貨構成比率の決定
 通貨バスケットでは、一つの通貨を各国の通貨で構成するため、始めに各国の通貨割合と各国通貨構成比率を決定する。この通貨割合と通貨構成比率が基本となって、最終的に共通通貨=欧州通貨単位(ECU)が決定する
 (ⅰ)通貨割合の決定は各国通貨の域内貿易比率・短期支援拠出枠・GDP比率の割合から算出される。
 (ⅱ)さらに通貨構成比率は、通貨構成割合を参考にして決定される。ここでの具体的な算出過程は、「中央銀行としては、それを公開すれば、投機筋に投機材料を提供することに他ならず、安定的な為替政策の遂行に支障をきたす。」という理由で公開されておらず、計算結果のみが公表されています。
共通通貨(基準通貨)の相場算定
 上記二つの通貨構成の数値から各国の対共通通貨の相場が表されます。そこで用いられるのが次の計算式です。
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但し、これだけでは分かりづらいので、上記通貨バスケット制度に、具体的な通貨、数値を当てはめてフロー図にしてみました
※ここではバスケット通貨として、欧州各国の通貨ではなく、便宜的にドル、円、ユーロを用いています。


%E3%83%90%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%88%B6%E5%BA%A6_23780_image003.gif


このような形で為替相場の安定を目指した通貨バスケット制度であるが、結局のところ(内外資本取引の自由を含めた)自由為替相場を前提としている限りは、バスケット参加国による為替安定化のための際限ない為替介入が必要となり、それが金貸したちの投機の温床となっている。(実際1990年代に、投機家の仕掛けによってポンド危機→欧州通貨危機が発生。それによって欧州通貨制度(EMS)は壊滅状態に追い込まれた。)

従って、今後の大きな方向性としてのブロック経済化(参考:収奪による豊かさの実現は、もはや成立しない [2])と、為替の本来の目的は貿易決済(経常取引)にあることを踏まえると、国力(実体経済)に即した通貨割合を基準にした、(内外資本取引の自由→自由為替相場を廃した)地域通貨バスケット制度の創設が、今後の為替制度の可能性として挙げられるように思います。

これであれば、国力(実体経済)に基づいた通貨割合→通貨構成比率によって為替レートが変動するため、為替相場が実態から大きく乖離することはなくなり、さらに金貸しによって恣意的に為替が操作されるということもなくなります。
また、バスケット通貨の通貨割合を決定する際、重視したい産業の比重を大きくすることによって、例えば農業生産国を有利にする、つまり農業育成政策なども可能になります。(ここは、その地域の共認内容に規定されます。)

以上、外国為替制度の今後の大きな方向性として上記仮説を提示しましたが、それを実現する上での問題点や実現基盤については、次回以降の記事でさらに追求していきます。


<参考>
欧州通貨制度の詳細に関してはこちら
『EUって、どうなっているの?』6~ユーロ設立前夜①、欧州通貨制度って何~ [3]
『EUって、どうなっているの?』7~ユーロ設立前夜②、欧州通貨制度が崩壊したのは何で?~ [4]

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