
この画像は農林中金のホームページ [1]からお借りしました
農林中央金庫は今年平成21年2月20日に1兆3,824億円の資本増強を実施 [2]しました。資本増強を実施したのは、世界金融危機で経営が悪化しているからです。どの位悪化しているか、分かりやすく紹介してあるブログがありましたので紹介します。
カモにされた農林中金 [3]
>農林中金のサブプライム住宅ローン関連を含めた証券化商品への投資残高は9月末時点で、6兆8230億円。驚いたことに、金融危機で市場が混乱するなか、3月末と比べて7823億円も増えているのだ。
>これとは別に、2つの米住宅金融会社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の住宅ローンを担保にした証券の保有残高が3兆4568億円ある。
>前述の証券化商品と合わせ、実に10兆2798億円もいわくつき商品に投資しているわけだ。
>農林中金は約3兆円の自己資本に対し、損失が発生する恐れがある証券化商品を約10兆円も抱えている。これは、自己資本を吹き飛ばすのに十分な規模だ。
恐ろしい状態ですね。なぜ、農林中金はこんな状態になってしまったのでしょう。話は中曽根内閣の時代までさかのぼります。興味のある方は、応援お願いします。
●中曽根内閣から始まっている農林中金改革
農林中央金庫がカモにされる発端を造ったのは中曽根内閣でした。当時はアメリカが財政赤字と貿易赤字の双子の赤字を抱え、プラザ合意による円高ドル安誘導、さらに、日本に対して内需拡大圧力を強くかけてきていました。
このような状況で中曽根内閣は、公的機関の民営化と市場の開放を進めます。民営化で有名なところではJRやNTTが上げられます。農林中央金庫も中曽根内閣時代の1986年に法改正が行われ、政府出資を廃止して、特別民間法人になります。
この法改正で、具体的にどのような改革が行われたか調べられませんでしたが、改正以前は資金の使途が限定されていたのが、一般民間銀行並みに自由に投資できるようになったと思われます。
この後、日本政府はアメリカからの要求を受けて内需拡大のために低金利、民営化、民間活力導入の政策を続け、バブル経済を生み出します。このバブル景気を生み出した資金の一つが農林中央金庫の資金でもあります。
●農林中金は住専問題で一度破綻している
農林中央金庫は1980年代後半のバブル景気時代に住宅金融専門会社(住専)に多額の貸し込みを行います。リスクの大きい物件の不動産融資に傾注していた住専は1990年代に入ってバブル崩壊とその後の平成不況による地価下落・住宅価格下落で破綻し、農業協同組合等の系列金融機関(JAバンク系)も破綻は時間の問題というところまで追い詰められます。そして、1996年の通称住専国会で国費により住専の債権が買い取られる事が決まり、救済され破綻を免れました。
●小泉改革が農林中金を巨大投資銀行に変えた
そして、今回の海外金融資産への大量投資の道を開いたのは、小泉内閣です。 「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンに、道路関係四公団・石油公団・住宅金融公庫など特殊法人の民営化などを含む「聖域なき構造改革」を打ち出し、郵政三事業の民営化を行ったことは記憶に新しいと思います。
当時は、熱烈な支持を受けた小泉改革ですが、振り返ってみればその改革の殆どは、アメリカからの要望を取りまとめた、年次改革要望書に書かれている日本の市場開放のための改革であったことが明らかになってきています。
農林中金も、小泉改革の一貫として、2001年の金庫法全面改正を経て経営体制の大幅刷新、投資銀行へと大きく舵を切ります。ここで行われた、改革も詳細は調べられませんでしたが、大きくは2点にまとめられるようです。
一つは、資金運用の集約です。各地域の農協などは地方の協同組合であり独立性が高く、それぞれに資金運用をして投資に失敗するなどの問題を抱えていました。資金運用を統合して、農協などの経営を安定させるという名目で、「再編強化法(農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律)」に基づきJA・信農連・当金庫が一体的に取り組む仕組み「JAバンクシステム」が導入されます。
二つ目は、組織の改変として、経営管理委員会が設置されたことです。経営管理委員会と聞くと、集約された資金を安全に運用するために監視が強化されたと捉えがちですが、実体は全く逆だと思われます。
経営管理委員会のような監視組織が必要になったのは、それだけリスクのある投資にも手を出すように組織を改変したと言うことです。この法改正で、農林中金は投資銀行=金を投資して利益を稼ぐことを中心にした銀行に大きく姿を変えたのです。農林中金は60兆円もの資金を集約して運用する巨大投資銀行になります。そして、アメリカ主導による世界的な金融自由化の流れの中で、農林中金の多くの資金が、海外の金融商品に投資されていく事になるのです。
●集約することでアメリカが支配、操作しやすくなった
ここで注目するべきなのは、農林中金の組織改変です。民間金融機関も統合を繰り返し、強大化することで経営を効率化し、競争力を高めていますから、農林中金も同じ理由で組織統合を行ったともいえますが、組織が集約されると権限が集中し、組織トップを押さえれば資金運用の方法を容易に操作することができるようになります。
アメリカからの市場開放圧力を受けた、中曽根内閣、小泉内閣の市場開放政策の結果、農林中金は日本の農林漁業のために資金を投資する機関ではなく、日本の農林漁業が生み出した資金を、国際金融資本家の利益を生み出すために投資させられる機関へと作り変えられたと言ったら言いすぎでしょうか。
アメリカのサブプライムローン関連債権が10兆円を超えている状況を見る限り、国際金融資本家たちに、いいようにやられてしまったのが現実であり、事実であることは誰も否定できないでしょう。
さらには、最初に紹介したブログ [3]には次のようなことも書かれています。
>松岡農水相の死や度重なる農水相のスキャンダルと農林中金のめちゃくちゃな有価証券運用は点と点が線で繋がっているようにずっと思っているのですが・・・・。まぁ、素人には分かりませんけどね。