
『国際金融機関どうなる?』14.為替相場ってどうやって決まるの? [1]で、外国為替相場の変動要因と今後の可能性を扱いました。
今回は、具体的に外国為替制度の中身を追求していきます。
まず、外国為替制度の主要な要素と言われているのが以下の3つです。
A. 為替相場の安定
B. 金融政策の独立性
C. 内外資本移動の自由
これら3条件は同時に満たされることはなく、いずれか2つしか満たしません。これは国際通貨・金融制度の「不可能なトライアングル(トリレンマ)」と呼ばれています。
そもそもなぜ3つを同時に満たすことはないのでしょうか?
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その答えはいたって簡単。
「内外資本移動の自由」という要素が曲者です。
もともと外国為替というのは貿易決済のために必要になったもので、その目的においては投機のための「内外資本移動の自由」など必要ありません。(当然、資本移動は規制されていました)
ところが、アメリカの力の限界(ニクソンショック)→ブレトンウッズ体制崩壊→外国為替制度の多極化に伴って、為替相場を投機市場化して儲ける為に「内外資本移動の自由」が外国為替制度に持ち込まれたのです。
当然、自由な投機(内外資本移動の自由)によって為替相場はどうにでも操作(変動)されてしまうので、為替相場の安定との両立は不可能であることは明らかです。
そして、先進国(とその背後の金融資本勢力)が「内外資本移動の自由」に傾倒した結果が現在の金融危機であり、慌てて「為替相場の安定」へと軌道修正しているというのが現状です。
従って、今後はこの「内外資本移動の自由」が規制される方向にシフトしていくのは必然ですが、残る問題は外国為替制度をどうしていくかということになると思います。
それを追求するに当たって、まず今回は現状の外国為替制度の仕組みを簡単にまとめてみたいと思います。
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①ハード・ペッグ制
・通貨同盟
→ユーロ(ドルや円に対しては自由変動相場制)
・ドル化
→米ドルを法定通貨として採用(中南米等)
・カレンシー・ボード制
→特定の外国通貨と交換する義務を負う(香港ドル)
※外貨準備の範囲内での通貨発行
☆金利をペッグ対象の特定の外国通貨の金利と連動させる必要あり
⇒A、Cは満たされる
②ソフト・ペッグ制
・米ドル・ペッグ制
・バスケット・ペッグ制
☆金利をペッグしている通貨の金利に連動させるか、内外の資本移動を規制する必要あり。
⇒A、B(Bも制限を受ける場合あり)は満たされる
※ニクソンショック前の日本の固定相場制では、「為替の安定」と「金融政策の独立性」は満たされていたが、「内外資本移動の自由」は満たされていなかった。
★バスケットペッグ
具体的な方法には、自国通貨と複数の他国通貨との名目為替相場を一定の割合(例えば貿易比率)で加重平均して実効為替相場を算出し、それを安定化させる政策を取る。
通貨バスケット制には次の方法がある。
①計算した実効為替相場指数が一定の水準になるように任意の通貨で介入する運営方法 。
②通貨Aをα単位,通貨Bをβ単位という具合に作り出された通貨の複合体(バスケット)に対する自国通貨の価値を一定に保つように市場介入する運営方法。
例としては,IMFのSDRや1998年までEUで採用されていたECUがある。
③フロート制
・管理変動相場制
・自由変動相場制
☆為替相場の安定は保証されない。
⇒B、Cは満たされる
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「内外資本移動の自由」を規制する方向で考えると、②か③の管理相場制が一つの可能性として考えられます。さらにドル基軸通貨体制崩壊の可能性も踏まえると、バスケットペッグや、それと管理相場を組み合わせたBBC(バスケット・バンド・クロール)などがより具体的な可能性として残るのではないかと思います。
従って、次回以降、バスケットペッグ制やBBCに関して、さらに追求してみたいと思います。