
これまで、『東南アジア諸国と日本』」のシリーズで
フィリピン [1]、タイ [2]、マレーシア [3]、インド [4]、インドネシア [5]、ミャンマー [6]
を調べていきました。
東南アジアの各国を調べていくと、
いずれの国も中国の影響力が強いことが分ってきました。
南米大陸の諸国がアメリカの裏庭と揶揄されているように、
東南アジア諸国は中国の裏庭に近い状況なのです。
しかし、アメリカ発の金融危機以降、南米では反米・反グローバリズム
の機運が高まってきています。
対して、東南アジア諸国では今後どうなっていくのでしょうか。
そして将来、日本はどのような関係構築が可能なのでしょうか。
まずは、最近の東南アジアと中国の関係を見ていくことにします。
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~拡大する人民元経済圏と今後~
米国発金融危機 → ドル離れ ⇒ 人民元経済圏の拡大
↓ ↓
次第に中国リスクの拡大 → 発展途上国のリスクも拡大
↓
新たなリスク分散の模索(日本の役割は何?)
1.中国による「ドル脱却」の具体手法
(宮崎正弘の国際ニュース・早読み [9])より
①物々交換(バーター取引)&人民元決済
→(アフリカの)スーダンやアンゴラの石油を中国が輸入
←推定される事態は武器との交換、中国からの日常物資や機械とのバーター(条件付取引)
→(石油の)パイプラインの安全を守る兵士は中国からの出稼ぎ
←彼らへの給与は、おそらく中国国内において人民元決済が行われている筈
②現地通貨相互決済
>すでにラオス、カンボジア、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマーなどは荷物運び業者による直接取引が主体で、人民元が強く、東南から南アジア一帯では、事実上の「人民元経済圏」が形成されている。
③通貨スワップ・・・・・(通貨スワップはドル基軸体制の終焉を早める)
>インドネシアと中国の「通貨スワップ」の例をひこう。両国は146億ドルの枠を設けて通貨スワップ協定を結んだ。 すなわち、インドネシアからのガス輸送代金を外貨準備のドルで決済せず、人民元とインドネシアルピーの決済の枠組みを設定した。
>現在世界中の外貨準備は69兆ドル。このうちの半分以上がアジア諸国に貯まっている。
マレーシアとインドネシアは中国の提案(周小川「IMFのSDRをドルに代替できる通貨に」)に賛意を表明した(ロイター、3月31日)。
>マレーシアの外貨準備の運用に関して、ゼジ・アカタル・アジズ中央銀行総裁は「外貨準備を多彩な通貨で、また人民元との通貨スワップも興味がある」と会見している。実際にマレーシアは外貨準備高のうち、145億ドルをドルから他の通貨へ切り替えた。
【参考】人民元で「安全」買え!
Bloomberg(2009年4月3日) [10]より
>基軸通貨ドルの安全性に懸念を高める中国は、貿易相手国が人民元建ての取引をしやすくするために、複数国との間で通貨スワップ協定の締結を進めている。
>人民銀は、通貨スワップはドルの供給量が足りない発展途上国が「現在の危機に対処する」のを支援するためのものだと強調している。
>中国人民銀行(中央銀行)は(※南米)アルゼンチンや(※東欧)ベラルーシ、(※アジア)香港、インドネシア、マレーシア、韓国の中央銀行との間で、2国間通貨スワップ協定を結び、総額6500億元(約9兆3925億円)を供給することに合意した。人民銀行は、さらに締結国を増やす予定だとし、相手国の輸入業者は中国製商品の代金を米ドル建てで決済しなくても済むと説明した。(※印は筆者追記)
2.高まる中国リスク
大紀元時報 低迷期に入った中国経済 [11]より
中国の経済成長形態は、非常に奇形かつ異常、いかなる持続性も備えていない(その理由)
①経済成長自体が、政府が投資によって強力に牽引してきたものである
②収入が二極化しており、絶対多数の消費者が消費する力を欠いている
③中国は国際市場によって養われている
東南アジアのみならず、今やアフリカや南米、東欧にまで覇権を広げようとしている中国は、戦線を拡大しているが故に、ひとたび成長が鈍化すれば負の連鎖の波及も大きいことが想定されます。
3.東南アジア諸国の日本への期待
議論百出の「東南アジア諸国との「共生」を目ざせ [12]」より
①各国とも日本からの投資の増大を強く希望
投資に関しては、東南アジア諸国でのハード、ソフト両面でのインフラの遅れがよく指摘される。先方に問題を指摘したり、注文をつけるのではなく、双方が一緒に双方の利益のための作業をすることの重みが痛感された。
②人材育成面での協力について強い希望が寄せられている
インフラ整備が進み、産業発展が進むにつれて、それを維持、運営するためにも人材が必要となる訳で、そのための協力への期待が表明された。また、技術の習得等のみでなく、日本的な仕事のマインドや日本の企業カルチャーをも学びたいとの願いが表明された。
③日本の大学で東南アジア研究を増やして欲しい
日本との関係を経済や政治関係にとどめず、国民レベルのしっかりと根づいたものにしたいという意欲が感じられた。東南アジア諸国は日本を兄貴分として共に歩み、共に繁栄することを希望している訳で、日本にとっても願ってもないことの筈である。日本が目を開いてこの期待に応えることが、双方の利益であることを国を挙げて自覚する必要があると思う。
考察
東南アジア諸国は、歴史的に列強からの植民地支配を経験してきた。
中国→西洋諸国→日本→再び欧米→再度、中国へと ・・・・
東南アジアの国々は、他国からの支配という外圧を受けて、独立当時は民族国益派の目標を掲げたものの、次第に換骨奪胎していくという共通項がある。
しかし、植民地支配や他国からの干渉は、その都度したたかな外交力を身に付ける機会でもあったと思われる。この点は、むしろ日本が学ぶべき点であろう。
今後、アメリカ、そして中国の二大大国の凋落は、これまでの目先の外交を見直す契機になる。その時にこそ日本の出番であり、真価が問われるのではないだろうか。