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地デジ放送になるのは何で?

 さて、こんなに問題だらけの地デジ [1]を、なぜ問題解決の目途も立たないうちに導入を決め、しかもアナログ放送の停波まで決めてしまったのでしょうか。
 地デジを推進している総務省の局長 安村 幸夫氏の公式コメント「中国地方4県での地上デジタル放送本格開始に寄せて」 [2] と、地デジ批判の急先鋒、池田信夫氏の ブログ [3] を読み比べていくと、その全体像が見えてきました。

DTV.jpg [4]

「何で地デジになるの?」と疑問を感じている方は、是非クリックして続きをお読みください。


 発端は、カラーテレビが家庭に行き渡り市場が停滞したため、次世代テレビを売りたい家電業界と、視聴料を増やすためハイビジョンを開発していたNHKの思惑が一致したことにあります。


 ところが、カラーテレビ市場を殆ど独占した日本に対抗して、欧米がデジタル放送を1998年に先行して開始したため慌てた郵政省と家電業界が国策としてデジタル化を推し進めるようになったのです。 
その1998年に、民放連は「デジタル放送は、広告収入が増えないのに巨額の設備投資がかかると反対したが、郵政省が『国の助成金を、郵政省で何とかとるように考えます』と損失補填を約束した」ため承諾したといいます。
 そして、欧米に遅れること5年、2003年にやっと東名阪でデジタルの試験放送を開始します。
 ところが、郵政省が、肝心の助成金を2001年度予算で要求したところ、大蔵省に「民放の私有財産である中継局に税金を投入することは認められない。国民にとっての利益がない」と拒否されたため目論見が狂い始めます。
 そのため、「アナログ放送を止めて移動体通信などに使えるので、電波の有効利用という国民的な利益がある。」という後付の理屈をひねり出し、「電波法改正から10年後にアナログ放送は止める。」ということを法律に明記することになったのです。

 つまり、最近、良く聞かされる、電波の有効利用も後付の理屈でしかなく、本音は「家電王国の日本がデジタルで遅れをとるわけには行かない」というお役所の面子と家電メーカーの都合だけで、推し進めされた政策であったことが浮かび上がってきました。

 さて、ネットを見ると、多くの業界関係者が、2011年のアナログ停波は無理だといっています。
11年地デジ移行、非対応TV2―3割残る 民間調査 [5]
地デジに踊らされるな!(アナログ放送が終わらない理由) [6]
2011年 地上アナログ放送を停止できない10の理由 [7]
地デジに移行すると受信障害多発か――アンテナの増設・調整に手間と費用 [8]
国費投入の前に地デジの計画を凍結せよ [9]

 昨年来の不況でさらに、デジタルテレビの売れ行き不振が大きくなっています。
地デジ移行完了に黄信号 対応TV売れ行き不振

 テレビ局は、受信できるテレビが減ると広告収入が減るため、アナログテレビが残っている状態では、アナログの停波をするわけにはいきません。一方アナログとデジタルの両方を放送し続けるのは、特に地方局は設備負担が重過ぎ耐えられません。
 このままでは、広告収入の減少、視聴者離れ、二重の設備負担(アナログ放送、デジタル放送)の三重苦で、地方の放送局から経営が破綻していくのは、火を見るより明らかです。

日本では、127社あるテレビ局は戦後1社も倒産していない。テレビ局は、政治の言いなりにになる代わりに、その見返りとして、既得権益を保証されてきたからだ。るいネットより [10]

 結果、「さらに税金でテレビ局を保護するしかない」と考え始めたようです。

鳩山総務相は1日、「地上デジタル推進全国会議」が都内で開いた式典で「万が一、(完全移行が)延期となった場合は、国が責任をとって(地方局の経営を)支援するしかない」と危機感をあらわにした。 [11]

 地デジ政策の失敗を通して、国民を無視した政治家・役人とテレビ局の馴合いが白日のもとに曝され、彼らの失敗の後始末を、国民の税金で補うという歪んだ構造が壊れる契機となりそうです。

[12] [13] [14]