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なんでや劇場レポート1 ‘08.12.29「金融危機と意識潮流の変化」 ~’09年の経済情勢 物的需要の衰退が加速~

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2008年は経済情勢が激動した一年であると同時に、人々の意識にも変化が見え始めた年でもありました。
2008年12月29日に行われたなんでや劇場では、2009年の経済情勢予測と、この金融危機で顕在化し、経済情勢と相互に影響をもたらしている人々の意識潮流の変化に焦点を当てて、今後の可能性探索が行われました。
本ブログでは、なんでや劇場で扱われた内容を3回に分けて紹介していきます。


◆2009年の経済情勢予測
 
(a)物的需要の衰退が加速(=市場縮小は不可避)
★自動車の新車販売台数が急落!
2008年11月、消費社会の象徴の一つであった自動車の新車販売台数が前年同月比で約30%減少し、11月としては過去最大の下げ幅を記録した。なお、これは日本だけの現象ではなく、欧米も同程度の下げ幅となっており、先進国共通の現象である。
 
★新車販売台数が30%も下落したのはなんで?
販売台数の減少は長期的には進んでおり、バブル期のピーク時から見ると、昨年で半減に近づいている。(’90年:約600万台⇒’07年:約340万台)
しかし、バブル崩壊や、日本版金融危機(’97年に山一証券や北海道拓殖銀行が相次ぎ倒産)という経済危機においても、人々が購買意欲に急ブレーキをかけて、いきなり3割も減少するようなことは起こらなかった。
 
今回の金融危機が、買い控えという人々の生活行動にすぐさま結びついたのはなぜか?
 
似たような現象は、オイルショック時に起きている。
オイルショック時は生活物資の価格が急騰して、人々は生活防衛意識から即買い溜め等の行動に走った。
物価上昇とは、最もわかりやすい数字という観念で察知できる危機である。
 
‘08年金融危機も、9月の本格的な破綻の顕在化に先行して、投機発の穀物高騰や原油高騰による物価上昇が起きており、生活防衛意識が高まっていた。
そこへ金融危機が起こり、アメリカの大手の金融機関や企業が相次いで破綻したことによって、一気に「必要か否か」という判断軸が顕在化し、買わなくていいものは買わないという意識が主流となったのだ。
 
★物的需要は回復するのか?
「物的需要が再び回復する可能性はあるのか?(≒商品市場は拡大するのか?)」というより根本的な問題は、商品市場の最基底にある“性市場”の状況を押さえる必要がある。
 
日本では、’90年代中ごろからセックスレス問題が顕在化してきているように、性の衰弱に歯止めがかかる気配はない。
とりわけ男においては、現在の婚姻制の先には閉塞しかないと忌避し始めている層も少なからず出てきており、(独占欲に基づいた)性は棚上げ状態に入りつつある。
 
また、昨年は「婚活」という言葉が注目を集めたが、この現象は、もはや好き嫌いなど言っていられないくらいに自我の性が衰弱してきたことを意味している。
 
この状況では、性に幻想を抱きようもなく、幻想に踊らされて物的消費に向かうこともない。
よって性の幻想共認を最大の原動力としていた商品市場は、拡大していく術を失ったのである。
 
“性”に関する状況認識としては、自我の性が衰弱過程にある現在は、本源の性への転換の過渡期であると言える。
この転換はまだまだ時間がかかるであろうし、もし本源の性への転換を遂げたならば、自我の性のように幻想に基づく過剰消費が起こるとは考えにくく、やはり物的市場の縮小は不可避であると思われる。
 
※性市場⇒商品市場の補足
自動車であれ、衣服であれ、売行きは必要な機能よりも、かっこいい(かわいい)デザインかどうかに左右される。これは「異性にモテたい(異性をモノにしたい)」という欠乏が物欲を支配していることの現れである。
 
↓正確な構造は下記を参照↓
【参考】
○実現論 第二部:私権時代「ト.性市場→商品市場の発生と繁殖」 [1]
○実現論 第三部:滅亡「ハ.貧困の消滅→私権の衰弱→性の衰弱」 [2]
 
 
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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続いて、貿易情勢と日本にとっての可能性を探っていきます。

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