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’09年、マスコミの淘汰過程に入った

週刊東洋経済2009年1月31日号の特集「テレビ・新聞 陥落!」からの引用。
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マスコミの代表、テレビと新聞。大衆向け広告媒体としての価値を認められ、長年にわたり人もうらやむ高収益を謳歌してきた。しかし、ぬるま湯につかり変化への対応を怠ってきたツケを払わされる時が来た。時代遅れの”特権階級”が今、音を立てて崩れ始める。

「10月改編のネットタイムの空き枠25分超」-。昨年9月24日、テレビ朝日の営業部は背筋の凍る思いをしていた。(中略)スポンサー広告の最小販売単位は30秒。「25分超の空き枠」は、単純計算で50本以上のCM枠が余っていることを意味する。
10月はテレビ局にとって、年2回の番組の改編時期だ。つまり、テレ朝は、あと1週間余りで新番組が始まるにもかかわらず、複数の番組でスポンサーが固まっていないという”異常事態”に陥っていたのである。しかも、前週の9月17日から、懸命に営業努力したにもかかわらず、1週間で埋まったのは、たった1分という惨憺たる状況にあった。
そんな苦し紛れのテレ朝が打って出た策が、ネットタイムの強烈な値下げ攻勢。「テレ朝のネットタイムとフジテレビのローカルタイム(関東地区のスポンサー広告)の価格が同じになってしまった。2~3倍の差があってもいいはずなのに、いくらなんでも下げすぎだ」とフジテレビの経営幹部は半ばあきれ顔で吐き捨てる。「おかげでこちらも値下げせざるをえなくなったんですよ」。
電通調べによる日本のテレビ広告の市場規模は、2000年以降、おおむね2兆円台で推移。そのうち半分程度を押さえる在京のキー5局は、映画などの放送外収入の伸びもあり、07年3月期の合計売上は過去最高を記録した。
だが、その状況は07年10月を境に一変する。番組改編で通常なら広告売り上げが9月比で伸びるべき月に、スポット広告(番組と番組の間に流す広告)が大幅に減少。08年3月期決算はテレビ朝日を除き4社が減収となった。今期が始まった時点では、各社とも北京五輪というビッグイベントでのスポンサー広告増加による反転を期待した。だが、時が経つにつれて状況は深刻化。急激な落ち込みに経費削減が追いつかず、08年9月中間決算で増益を確保したのは売り上げトップのフジテレビのみ。2位の日本テレビですら、単体決算が1959年の上場以来初の営業赤字に転落する非常事態になった。そして9月のテレ朝のエピソードのように、ギリギリまで広告枠が埋まらない綱渡りが常態化した。

今後まず始まることは、広告枠を埋めるためのテレビ局同士のダンピング競争である。
それによって、最も経営耐力がないテレビ局から潰れていくことになる。次に起こることは、テレビ局同士の吸収合併である。

通常の業界であれば、市場縮小を見越したうえで、下位企業同士の合併など再編が巻き起こってもおかしくはない。が、総務省から電波を割り当てられた免許業種であるテレビ局は、経済原則通りに動くことはない。「マスコミ集中排除原則」により、テレビ局間の株式保有には上限が設けられているのだ。
ただ、同原則は緩和の方向にある。総務省は、地上波放送のアナログからデジタルへの移行をスムーズに進めるため、08年4月に放送に関する基本法の放送法を改正。一部のテレビ局がデジタル化投資の負担に耐えられず経営難に陥ることが予想されたため、「認定放送持株会社」の傘下に最大12局のテレビ局を収められるようになった。ただし、キー局は1局が7局とカウントされるルールが設けられており、キー局同士の経営統合はできない立て付けだ。
ただ、最大12局と定めているのは、総務省の省令だ。法改正の必要がないため、キー局同士の統合を可能にすることは比較的容易である。キー局の経営がいよいよ危なくなれば、総務省は放送を停止させないために、省令を改正して、キー局の再編を促さざるをえない状況になる可能性もある。
「大阪は東京以上に広告収入が激減している。ある準キー局の経営が相当危ないらしい」
事情通の番組制作会社社長はそう言い切る。準キー局とは、大阪を地盤とする関西テレビ・読売テレビ・毎日放送・朝日放送の4社のこと。自社製作番組の比率が高く、売り上げも数百億円とキー局に次ぐ規模のため、こう呼ばれている。
このうち、ある老舗局の経営が悪化しており、その救済のため準キー局同士で経営統合すると見られているのだ。認定放送持株会社制度では、準キーは1局が6局にカウントされる。そのため、現行制度のままでも準キー同士の統合はいつでも動くことができる。これがテレビ業界再編の発火点になるかもしれない。

ここで書かれたシナリオは、ほぼそのまま実現するだろう。
世界的な大不況下で各企業は経費削減に迫られる。その槍玉に挙げられる第一が広告宣伝費である。ということは、一般企業の売上減少以上のスピードで、マスコミの売上減少が進行する。そして、広告枠を埋めるために、テレビ局同士のダンピング競争が激化する。放っておけば経営耐力の弱い局から潰れていくが、行政指導によって、比較的耐力があるテレビ局が経営破綻したテレビ局を吸収合併する形で再編は進んでいく。しかし、それは吸収したテレビ局の耐力を確実に奪っていく。
これが09年以降進行するマスコミの淘汰過程である。大きな状況は新聞社も同じだろう。
(本郷猛)
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