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日本支配の構造21  紙でやる戦争の仕組み(ある円通貨圏の興亡)

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日清戦争後の東洋世界 図はここからお借りしました [1]
日清戦争~日露戦争~日中戦争~太平洋戦争戦争の裏には欧米諸国と日本の決定的な経済的対立構造がある。そのためには日本は戦争をせざるを得なかった。しかし国力の貧弱な日本が戦費を調達し、中国・ロシア・欧米と戦争を継続していけたのはなぜか?
多田井喜生氏の『朝鮮銀行』より要約と引用を試みます

日中戦争が始まった昭和12年7月から終戦の20年8月までの東京の小売り物価は2.5倍の上昇にとどまった。一方占領地の北京や上海の物価は暴騰してこの間に1000倍にもなった。
これも日本円で内地より送金される軍事費や投資資金を、中国や南方の占領地では連銀券や儲備券、南方開発金庫券などで支出し、日本円資金は日本国債の購入に充てて国庫に貫流させるという、占領地の経済を犠牲にした運営がなされていた結果である。占領地の通貨を増発することで日銀券の増発を抑えて内地経済の崩壊を防ぎ、戦争継続を可能にした。

戦争を継続するためにはまず紙でやる戦争の仕組みを作り上げることが必要です。
実は通貨制度というものは、歴史的には戦費調達の手段として始まり、それを支えるのが中央銀行という仕組みであった。
当時の日本はこれに加えてさらに皇室財産という財布を使ってこれらの銀行に出資する仕組み
日本支配構造20”皇室財産” [2]を編み出した。
戦前の日本ではこのやむにやまれず生み出したこの東アジアの円通貨圏の仕組みが、大陸において“金融”での本家本元の欧米を凌ぎ勝利した。
当初は彼らから学んだが、やがて自ら独特の仕組みを考案したのだ。 

なんと・・・頭良い 🙄   
これが当時の英米の金融資本家たちの反発を招き太平洋戦争の原因となったのは想像に難くない。
以下検証してみます。

その前に
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続く


◆日清戦争~日露戦争~日中戦争~太平洋戦争の戦費調達のため日本は植民地に紙幣発行権を持つ以下の中央銀行を設立した。
満州中央銀行 [3]  終戦時発行額:満州国幣82億円
朝鮮銀行 [4]     同:鮮銀券50億円 大陸支配の中核となった銀行で株主は韓国皇室と日本皇室
台湾銀行 [5]     同:台銀券14億円
中国聯合準備銀行 [6]     同:4099億円
ほかに蒙銀券28億円 南発券182億円。
このトータルは約5300億円となる。<『朝鮮銀行より』>
◆中国は列強の経済植民地
もともと中国には国際金融資本家(ロスチャイルド)が合同して組織した英仏独三国借款があった。それにスペインからフィリピン・グアム・ハワイを獲得したアメリカが中国の市場拡大を求めて後で参加してきた。
当時の日本の経済規模から中国の金融支配などできそうもないと思われた。そこで考え出されたのが『預け合』という制度である。
まず日銀券を鮮銀券は発行準備とし、さらに朝鮮銀行への架空預金を発行準備に連銀券という軍票を発行させる仕組みがつくり上げられた。そして各中央銀行は独自の紙幣を発行した。
要するにおたがいの預金口座に同金額を記入するだけである。実際に現金が動くわけではないから実は架空預金である。このあたりの金融創造の仕組みは現代の金融制度にも通ずるものがある。
さらに昭和17年の日本銀行法の制定により金や外貨の兌換義務も全く外された。これが日本軍の軍事支出なのに華北(中国)では日本円を全く使用しないで済む仕組みである。この結果、戦費負担による日本国内でインフレ進行が防止される一方、華中では儲備券の濫発によりインフレ(1000%もの)が拡大した。 
軍事費 [7]の現地調達額
これのよると昭和12年から昭和22年まで(日中戦争から太平洋戦争)の戦費は7558億円である。
ちなみに昭和15年の日本の国家予算が約60億でアメリカは5140億なので、日本は86倍の財政規模の国と闘っていた事になる。
この戦費のうち7割近い5246億円は昭和20年に外資金庫が連銀券(616億)、儲備券(4505億)、南発券(191億)で支出したものである。<昭和財政史より>
ほぼ数字的に整合するが、この5300億が60億の国家予算を持っていた当時の日本が、9年間あまりで【中央銀行】設立と【預け合】制度により創り出した信用創造(ほぼ10倍)である。
これが台湾銀行が明治33年に設立されて以来大陸に渡ったの円系通貨の姿である。

さらに終戦直前に横浜正金銀行の上海支店と天津支店に残っていた15トンの金塊でこれらの軍費を弁済してしまった。もちろんかけ離れた交換レートでおこなった。
敗戦国が軍事債務を弁済してしまったのである。
朝鮮銀行が36年間に朝鮮から買い入れた金は249トンあったから、中央銀行を設立することがどれだけの利益を生むか推して知るべしである。

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