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「ビジネス知識源」<晩秋の落日のドルとユーロ>より、FRBの資産劣化3

Posted By hongou On 2008年10月30日 @ 4:10 PM In 06.経済破局の行方 | 8 Comments

引き続き、吉田繁治氏のメルマガ「ビジネス知識源」2008年10月27日<Vol.230:晩秋の落日のドルとユーロ> [1]より引用。
いつも応援ありがとうございます。

■5.FRBの資金源は何か?
まずFRBは、昨年の8月は28兆円だった手持ちの米国短期国債を、26兆円分売っています。長期国債は、5兆円売った。
(1)31兆円
国債売りで、合計31兆円の資金を確保し、31兆円分の金融機関への緊急融資に使っています。(10月1日の貸借対照表を見てください。かっこ内に書いた国債の減少分が、FRBが売った分です)
(2)7兆円
日銀とECBからは、新たに、FRBが7兆円を借りています。
(3)11兆円
次に、平時は金利ゼロのFRBの当座預金に、特別に金利をつけ、9兆円をFRBへの預金として受け入れています。ゴールドマン等の証券会社からは、2兆円を預かっています。
(4)34兆円
最も大きいのは米国財務省からの国債の預かり34兆円です。
これは、米国の財務省が新たに、急遽(きゅうきょ)、資金の根拠がなく印刷した国債です。その他の受け入れとして14兆円分。これもおそらく、財務省からの米国債の預かりでしょう。

【結論】
以上の方法で、合計94兆円分、FRBは資金を捻出(ねんしゅつ)し、ドル札も3兆円余分に印刷して、合計で97兆円(≒100兆円)の資金(=FRB信用)を生んだ。
これを、資金が足りない国内金融機関に、緊急融資した。
●(重要)100兆円のFRBによる緊急貸付と信用創造のメカニズム、お分かりでしょうか。
大元を言えば、
・日銀とECBからの協調借り入れと、
・米国政府からの借り入れ(国債預かり)です。
つまりこれらは全部、米国債の対外信用を基にしています。
(注)欧州では、ユーロ国債の対外信用です。
今までの100兆円分は、こうして、FRB自体も、綱渡りのような、資金捻出に、拠っています。ところで、10月1日以降、新たに必要になる資金(おそらく数100兆円の追加)は、どうするのか?

●貸し付けた相手の金融機関からの回収は、今後5年や10年はできないでしょう。逆に、もっと巨額に資金注入が必要です。
方法は、
(1)米国債を、財務省が刷ってFRBに預ける、
(2)FRBはその緊急国債を、
(3)日銀、ECB,および中国、アラブに売る。
これでしか、資金は、手に入らない。
ところが10月1日以後、世界の株価も25%は下げ(追加で1000兆円、合計3000兆円の時価を失い)、世界の金融機関も自己資本を減らしたため、米国債を増加買いする余力はない。
たとえば日本の生保・銀行・郵貯・簡保・年金も、日経平均が8000円付近で、自己資本を減らす含み損を、大きくします。
特にECBは、今、次々に資金不足に陥っている英国・スイス・西欧・北欧の、金融機関の救済に躍起です。米国債を買う余裕は、全くない。むしろユーロ国債の手持ち分を、FRBが9月に行ったように、海外に売らねばならない。
欧州の銀行の、30倍~50倍のレバレッジ(信用借り)に頼った、(今後も絶対に返せない)巨額負債を見れば、株価の含み損と、この秋から本格化する欧州不動産価格の下落から一体いくらの公的追加マネー必要になるのか?
政府資金の投入とは言っても、金融機関は、それを後で、金利をつけ政府に返済しなければならない。それが(ほぼ永久に)無理なのです。そうすると、結果は国の損失になって終わる。

【後記】
今回は、金融機関の救済のための元資金になる、FRB(米国中央銀行)やECB(欧州中央銀行)の、資金供給構造を分析しました。
実は、ゼロからの資金創造は中央銀行もできない。何かの資産(国債、金融機関の不良社債、不良証券)と、通貨の交換が必要です。そのため、貨幣価値が下落します。変動相場がそれを写すのです。
結論を言えば、FRB・ECBとも、もう、根拠ある資金捻出の余力がない。あとは、金融機関の不良債券の買い取りしか根拠がない米国債、ユーロ債の、政府による印刷しかない。

このFRBの財務状況が示しているのは、今やFRBそのものが国債発行による救済対象だということだ。「最後の貸し手」たる中央銀行までが救済対象になると、これまでのように、国債発行によって不良債権を買い取るだけでは済まなくなる。早晩、中央銀行の国有化(経営権を国家が握る)の必要性が顕在化するだろう。
吉田繁治さん、いつも詳細なデータ提供、ありがとうございます。
この場を借りて御礼申し上げます。
(本郷猛)


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[1] 吉田繁治氏のメルマガ「ビジネス知識源」2008年10月27日<Vol.230:晩秋の落日のドルとユーロ>: http://archive.mag2.com/0000048497/index.html

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