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★ゴールドマンやモルガンが金融持株会社になったのは?

Posted By hashida On 2008年9月26日 @ 10:18 AM In 06.経済破局の行方 | 10 Comments

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(写真:ニューヨーク証券取引所)
 2008年09月25日の記事「「金融破綻の連鎖が意味するものは?」残課題と追加課題」で扱われていた内容の一部ですが、ウォールストリートの花形であったロスチャイルド系のゴールドマンやモルガンといった証券会社が金融持株会社になったのはなぜ?というところを扱いたいと思います。 :D
 元々アメリカでは、グラス・スティーガル法(1933年銀行法)により、商業銀行と投資銀行が明確に区別され、銀行業務と証券業務は兼務できないとされていましたが、1999年にグラム・ビーチ・ブライリー法(1999年金融制度改革法)によって改定され、金融持株会社となることで銀行が証券を兼業することが可能になりました。これが、今回のサブプライム問題の一因を担っているとも言われていますが・・・・


●ゴールドマンやモルガンが金融持株会社になったのは?
 
 簡単に言ってしまうと、米大手証券会社(1,2位)である両者は、投資銀行(investment bank)であることをやめ、銀行になる道を選び、米連邦準備理事会(FRB)に承認されたということなのだが、何が変わったのか比較してみたいと思う。
・投資銀行(investment bank)
監督・監視機関:証券取引委員会(SEC)
自己資本比率:規制なし
FRBからの直接融資:受けられない
資金調達:企業の株式・債券発行による資金調達やM&A(合併・買収)の仲介、証券化業務を手がけるほか、自己資金の何倍もの借入金を投資して高収益を狙う「レバレッジ(テコ)」を駆使して高収益を得る
↓↓↓↓↓↓↓
・金融持株会社
監督・監視機関:米連邦準備理事会(FRB)、預金保険公社(FDIC)
自己資本比率:高比率の規制あり(銀行としてある程度まとまった預金解約に応じられる必要がある)
FRBからの直接融資:受けられる
資金調達:商業銀行業務(預金)により安定した資金繰りが可能
<メリット>
①FRBから資本増強を受けられること
②商業銀行業務として市場から預金という投資資金を獲得できること

<デメリット>
①高い自己資本規制比率の維持
②FRBから厳しい監督・規制を受ける

 これらのメリット・デメリットを比較した上で、両者は金融持株会社に業態転換を行うことを選択したのだが、金融不信により他の証券会社が買収や経営破たんを起こす中、もはや資金調達が立ち行かなくなってしまったというのが本音のところだろう。自己資本の低い状態で他人資本・信用にレバレッジをかけてフルに投資を行って高い利益率を出るという投資業務(米国型投資銀行ビジネスモデル)は金融不信により出来なくなったということなのだ。
 ゴールドマンとモルガンの2大証券はこれまでFRBからの独立性を保っていたが、FRB当局にとっては両金融機関を監督・監視下におくことが出来、ゴールドマンとモルガンはFRBから融資を受けられるという利害が一致する形ですんなりと成立。というのが、日米欧のマスコミが報道している内容であるが、もう少し別の切り口での見方もあるようである。

「(私が米大統領になれば、)ウォール街を危機に陥れた(投資銀行家たちの)無謀な行為や腐敗、そして、とどまるところを知らない強欲さに、ピリオドを打ってみせる。(そのために)ワシントンの(規制当局の)ビジネスの流儀から変革するつもりだ」――。
 9月16日、米大統領選でフロリダ州タンパを遊説中の共和党候補マケイン上院議員は、きっぱりと投資銀行に対する規制の抜本的な見直しを公約した。「(金融恐慌と言っても)米経済の根幹は依然として健全だ」という趣旨の演説をしたところ、ライバルの民主党候補オバマ上院議員から「経済のことを何もわかっていない」と攻撃され、反論せざるを得なかったからである。
 だが、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの経営者たちは、この公約に、マケイン候補の本気を見て取り、震え上がったという。共和党と言えば、伝統的にウォール街シンパだが、マケイン候補の投資銀行への宣戦布告とでも言うべき公約は、そういう長年の蜜月が終わったことをはっきりと示していたからだ。
 タンパ演説の2日前にあたるブラック・サンデー(9月14日、暗黒の日曜日)の激震で、リーマン・ブラザーズとメリル・リンチの2社が実質的に消滅し、金融・資本市場は世界中で大暴落に見舞われていた。
 そして、共和、民主の政党を問わず、ワシントンの議会から見れば、多くの人が理解できないハイテク金融商品を開発して流通させてきた投資銀行こそ、この大暴落の元凶と映っていた。投資銀行側がワシントンに張り巡らした情報網は、マケイン候補の公約が、こうした米政界の反・投資銀行機運に火を付けかねないと告げていたそうだ。言い換えれば、ワシントンの政治は、魔女狩り裁判のため、投資銀行という“魔女”を求めていたというのである。
~中略~
 そして、日米欧の主要メディアは、株式市場での危機的な状況に着目して、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社への転換を打ち出した理由を「資金調達パイプの強化のため」と解説した。
 だが、この解説には、ちょっと無理がある。というのは、3月のベアー・スターンズの経営危機の反省から、米国では、FRBが投資銀行に直接的に緊急融資できる制度が整備されているからだ。
~中略~
 やや下世話な話で恐縮だが、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの2社が銀行持ち株会社への転換を決断した背景として、庶民感覚では考えられない高額の報酬をウォ-ル街の経営者たちが得ていたことや、それらに対する素朴な反発があったことは無視できない。つまり、税金を投入して、高額所得者たちの不始末の尻拭いをするのは納得できないという反発がイチバン大きかったのだ。
 だからこそ、冒頭で紹介したように、マケイン氏を始めとしたワシントンの政治家たちは、ビジネス・モデルとしての投資銀行を格好の生贄とみて、鉄槌を下そうとしたのだ。
~中略~
 それが直接、今回の金融恐慌の引き金となったかどうかは別として、そんな経営者たちが跋扈していることに、洋の東西を問わず、世間の怒りを抑えるのは難しい。
 ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの2社は、長年親しんだ投資銀行の看板を捨てて、銀行持ち株会社として存続を図る以外の道がなかったといえる。
以上ダイヤモンドオンラインより引用 (http://diamond.jp/series/machida/10045/?page=2)

 実は投資銀行であってもFRBからの直接融資を受けられる立場にあったにも関わらず、あえて金融持株会社に業態を替えざるを得なかった背景には
 ①ワシントンの議会から投資銀行こそ金融破綻の元凶だという反・投資銀行機運がある
 ②共和党候補マケイン上院議員の投資銀行に対する規制の抜本的な見直しを公約
 ③税金を投入して、高額所得者たちの不始末の尻拭いをするのは納得できないという国民感情
 今回の転身は、マネー経済膨張の中枢を担った「投資銀行」が社会退場を命じられたということだろう。
 この「投資銀行」不要という社会共認が、GS・モルスタに長い間ウォール街の花形であった「投資銀行」という看板を下ろさせざるを得ない状況に追い込んだ真の原因ではないだろうか?
 これは同時に、マネー経済に対しても必要か否かの判断軸に照らせば「否」という審判が下されたことを意味する。社会における共認圧力が、マネー経済ひいては市場原理に終止符を打つことができることを示しているのではないだろうか。


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