
9/17、世界最大の保険会社米AIGを救済するため、FRBが最大850億ドル(9兆円)の緊急融資を発表した。AIGの株式の79.9%取得する権利をもFRBは得たとのこと。AIGの経営危機のきっかけは、サブプライム関連商品の元本を保証する金融商品CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の販売事業の破綻。CDSの契約額は元本ベースで4000億ドル(42兆円)にまで膨張したが、資金繰り悪化によりAIGの格付けが下がり、約150億ドルの担保をCDSの取引先に差し入れなければならなくなって窮したらしい。AIGが破綻すれば元本保証を担保するものがいなくなり、この商品の購入者はサブプライム関連商品の損失リスクに直撃される。AIGの破綻から金融破綻が連鎖することになる。これを防ぐためのFRBの緊急融資だろう。
リーマンの破綻、メリルリンチの買収、そしてAIGの救済と、米財務当局とFRBは1日刻みで綱渡りの方針を迫られている。’80年代の日本のバブル崩壊時にもなかった事態である。これが何を意味するのか?
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●FRBによるAIG救済劇の構造
AIGがサブプライム商品の元本保証をする商品を証券化して金融機関に売却。金融機関はそれを証券化して他の金融機関に売却。こうして金融商品(証券化商品)が連鎖して、全ての金融機関が貯めこんでいる。
AIGに焦げ付きが出れば、元本が保証されず、各金融機関が所有している証券が紙くずになり、資産に穴が空く。その連鎖がファニーメイにまで飛び火すればFRBもアウトになるので、今回公的資金を投入して救済した。
かつての日本のバブル崩壊と今回の金融崩壊には違いがある。
日本のバブルは株→土地の高騰で、バブル崩壊は株式暴落から始まったが、地価は急落はせずジリジリと下がっていった。土地が実体価値を併せ持つ投機商品だからである。結果、日本の金融機関はバブルが崩壊してもすぐ倒産することはなく、バブル崩壊から7年も経った’97年に初めて山一が倒産。
株式暴落から始まった点では1930年の世界恐慌も同じだが、破局は株式暴落からという認識は固定観念である。今回の米金融崩壊では、株式は暴落していないのに、金融機関は破綻している。しかもリーマン→メリル→AIGと急スピードで。
1930年代や日本のバブルとの構造の違いは、金融(証券化)商品市場の有無。今回はそれが異常に水膨れして連鎖している。証券化商品は発行するのも購入するのも金融機関同士であり、証券化市場システムが破綻すると、真っ先に金融機関が連鎖して潰れることになる。しかも超短スピードで。だから、リーマン→メリル→AIGと、米財務省・FRB当局が1日刻みの綱渡り処理を繰り返す事態に陥ったのだ。
●今回の連鎖する金融機関の破綻の構造が証券化市場システムの破綻であれば、世界中の金融機関が証券化商品を貯めこんでいる以上、今後も金融機関の破綻は続く。それも猛烈なスピードで。米財務局とFRBはそのたびに綱渡りの救済に迫られることになる。今回の金融破綻劇がドル暴落・米国債暴落→経済破局に直結する可能性もある。それを読み切るためには、以下のような調査・追求テーマ群(★印)が挙げられる。
★いずれ米財務省・FRBが本丸である米住宅公社への救済策を打ち出すことになるが、具体的にどういう救済策がありうるか? その仕組みの調査が必要。FRBの通常の役割だけでは不十分。異常事態に対してどこまでの裏業・禁じ手が打てるのか、想定しながら調べる必要がある。
★まずは、今回のFRBによるAIGの救済策を分析する必要がある。
(前提条件として頭に入れておくべきことは、FRBは貸す時にも担保が必要ということ。担保がなければ議会承認が得られない。もし担保なしに貸し付けて、穴を空けたら、国家に押し付けられることになるから。)
★新聞によれば、AIGの株式の80%を取得する「権利」をFRBが得て、それを担保に9兆円融資したということだが、80%を取得する「権利」とはどういうことなのか? 空証文にすぎないのでは?
★もう一つの疑問として、AIGが株式市場に上場しているのなら、80%も自社株で持っているはずがない。但し、保険会社の特殊性(元々組合組織で非上場だった)があるのかもしれない。日米の保険会社で違いがあるかもしれないので、AIGと日本生命について自社株総額、うち上場している割合等のデータが必要。
★株式80%が担保価値があるとしても、それだけでは十分ではない。
AIGはFRBの所有物になったに等しいわけだが、AIGに対して保険解約が殺到することになる。そうなれば忽ち破綻。ところが保険の契約金をFRBが返してくれるわけではない。株主の責任は出資額が限度だし、保険金額まで保証することなど議会承認が得られるはずがない。保険解約が殺到したら、AIGはどうなるのか?⇒AIGの資本金総額と保険契約総額は?
★今回のつなぎ融資で息をつけても、1週間で化けの皮は剥げる。庶民(年金基金や保険の加入者)は果たして安心できないで、解約が殺到し保険契約金が返ってこないor年金基金に穴が空けば、必ず政治問題化する。
⇒AIGの主要顧客は誰か?(企業?個人?)契約条項はどうなっている?
(アメリカの個人家計も金融商品で水膨れさせていて、解約すると赤字が顕在化するので解約できない構造にある?)
★今回破綻しているのは、これまで証券化で利益を上げてきた金融機関。
金融機関の中でも危険度に違いがある。証券化商品の運用から想定した危険度は、投資銀行>証券=保険>銀行といった順か? 各金融機関の特性をナンバー1~2くらいまでに絞って調べる。
★他の金融機関は大丈夫か?
一連の金融破綻から他の金融機関に連鎖する。
AIGはバランスシートに穴が空いたわけだが、証券化商品を大量に保有している全世界の金融機関が同じ危険性を孕む。リーマンの取引先企業が半年前から逃げ出していたという噂から考えて、大規模な粉飾決算をしていた疑い。他のバンカメもゴールドマンもヤバイのでは?
★それにしてもなんで、AIGだけ助けるのか?
AIGはロックフェラー系かロスチャイルド系か?
この間、なんでロスチャイルド系の金融機関ばかり救済され、ロックフェラー系のリーマンは潰されるのか? それを先導しているのはポールソン財務長官だが、なんでブッシュ政権でロスチャイルド側の人物が財務長官でいるのか?
★今後の政治日程を考えると、日本の政界を従米に再編するまでに、どんなに早くても来年の8月まではかかる。それまで世界経済は保つのか?(金融機関の連鎖倒産から本丸のファニーメイまで行き着くのに1年もかからないのでは?)
(本郷猛)