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今やマスコミにとって最大の敵は「国民」?

これまでマスコミは、「大衆の味方」「国民の代弁者」という看板を掲げてきた。しかし、マスコミの潜在意識下では、今や国民や世論は敵として映っているのではないだろうか。
『CNET Japan~佐々木俊尚 ジャーナリストの視点』「毎日新聞社内で何が起きているのか(上)」 [1]から引用。
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●電凸が引き起こしたすさまじい破壊力
 毎日新聞の英語版サイト「毎日デイリーニューズ」が女性蔑視の低俗記事を長年にわたって配信し続けていた問題について、この一か月の間、毎日新聞社内外のさまざまな人と会った。
 その結果わかってきたのは、この事件が毎日のみならず新聞業界全体に与えたインパクトた影響は皆さんが想像しているのよりもずっと大きく、その破壊力はすさまじい状況を引き起こしているということだ。これはインターネットとマスメディアの関係性を根底からひっくり返す、メルクマールとなる事件かもしれない。
 何が起きているのかをざっと説明しておこう。まず最初は、ウェブサイトへの広告から始まった。ご存じのように毎日のニュースサイトである「毎日jp」の広告は、7月中旬から一時全面ストップした(現在は復活している)。毎日に広告を配信するアドネットワークを運営しているヤフーが、広告供給を停止したからだ。名前は公開できないが(以降、差し障りのある話ばかりなので、証言はすべて匿名になってしまっていることをお許しいただきたい)、あるヤフー社員は次のように証言している。
 「スポンサーの多くから『毎日への広告を止めてくれ』と要請があったんです。我が社のアドネットワークは、複数のメディアに同時に広告を配信しているので『ひとつの媒体の広告だけを止めるのは技術的には難しい』といったんは断ったのですが、あまりにも要請が多く、押し切られたかたちですね」
 この社員が語っているように、毎日に広告を出稿しているスポンサー企業や提携先、関連団体などに対して、広範囲な「電凸」(電話作戦)が行われた。その対象となった企業や組織の総数は、毎日社内の集計では二〇〇社以上に上っている。この結果、広告出稿の停止はウェブから本紙紙面へと拡大し、誰でも知っているような大企業も含めて相当数のスポンサーが、毎日紙面への広告を停止する措置をとった。
 毎日広告局員の証言。「『おまえのところの不祥事で、うちのお客様相談窓口がパンクしてるんだぞ!』とスポンサー側担当幹部から怒鳴られ、広告を停止させられる処分が相次ぎました。いま現在、必死で幹部がスポンサーまわりをして平身低頭し、何とか広告を復活させてもらえるようにお願いにまわっているところです」

●背景には新聞広告の衰退がある
 なぜスポンサーがここまで怒っているのか。もちろん毎日の低俗記事配信は許し難い行為ではあるものの、実は理由はそれだけではない可能性がある。大手広告代理店の幹部はこう説明してくれた。「毎日は新聞業界の中でも産経と並んで媒体力が弱く、もともとスポンサーは広告を出したがらない媒体だった。たとえば以前、大手証券会社が金融新商品の募集広告を朝日と毎日の東京紙面に出稿し、どのぐらいの募集があるのかを調べてみたところ、朝日からは数十件の申し込みがあったのに対し、毎日からはゼロだったという衝撃的なできごとがあった。比較的都市部の読者を確保している朝日に対して、毎日の読者は地方の高齢者に偏ってしまっていて、実部数よりもずっと低い媒体力しか持っていないというのが、いまや新聞広告の世界では常識となっている」
 そしてこの幹部は、こう話した。「景気が後退し、そもそも広告予算そのものが削減される方向にある。それに加えてインターネット広告の台頭で新聞広告の予算はますます減らされる状況にある中で、毎日の広告など真っ先に削られる運命だった。そこに今回の事件が起きたことで、スポンサー側としては事件を口実にして、一気に毎日への広告を止めてしまおうという戦術に出ているようだ。これまで毎日は媒体力の低下を必死の営業で何とか持ちこたえてきていたが、今回の事件で一気に堤防決壊に向かう可能性がある」

●恐怖感が新聞業界に蔓延している
 この毎日の現状は、他紙にも知られつつある。ネットの世界では「朝日や読売が漁夫の利で毎日を追い落とす口実に使うのではないか」といった声も出ているが、しかし業界全体をとってみても、そういう雰囲気ではまったくない。毎日を追い落とすどころか、「次はうちがやられるのではないか」という不安と恐怖が、新聞業界全体を覆いつつあるのだ。
 別の全国紙社会部記者の証言。「毎日の低俗記事事件をきちんと報道すべきという声は部内でも多かったし、僕もこの問題はメディアとして重要な事件だと認識している。でもこの問題を真正面から取り上げ、それによって新聞社に対するネットの攻撃のパワーが大きいことを明確にしてしまうと、今度は自分たちのところに刃が向かってくるのではないかという恐怖感がある。だから報道したいけれども、腰が引けちゃってるんです」
 この事件のマスメディアでの報道が少なく、扱いも小さいのは、「同じマスコミ仲間を守ろう」というような身びいきからではない。この記者も言うように、不安におびえているだけなのだ。

佐々木俊尚氏がご指摘のように、資源や食糧の高騰によって、企業経営においても不要なものが切り詰められている。その一つが広告である。新聞だけではない。8月7日の読売新聞によると、在京民間キー局5社全てが経常利益の減益とのこと。企業にとってテレビ・新聞広告などは無駄でしかないことが、市場の縮小を契機に明らかになるであろう。マスコミは急速にその糧道を絶たれていくのである。
重要な視点をもう一つ。
『るいネット』「勝ち組報道から魔女狩り報道の転換」 [2]からの引用。

ここ2~3年、マスコミは報道内容を大きく変化させ、それに合わせて人々の意識にも大きな影響を与えてきた。つい3年ほど前の勝ち組収束は影が薄くなり、現在マスコミ報道を賑わせているのは、食品偽装事件と通り魔殺人となった。
偽装問題でも通り魔殺人事件でも、マスコミは対象となる人物が「いかに悪いか」を強調していく。魔女狩りの構造と同じである。この「魔女狩り」報道によって、社会全体が「保身一色」となり始めた。

魔女狩り報道で世論を保身一色に追い込む一方で、自らが世論から袋叩きにならないかと怯えるマスコミ。
マスコミから見て「国民」や「世論」はどのように映っているのだろうか。
捏造報道によって国民を騙し続けてきたマスコミ。
小泉礼賛・郵政民営化礼賛報道によって国益を売り飛ばしてきたマスコミ。
「魔女狩り」報道を続けるマスコミ。
このように、マスコミは国民を裏切り続けてきた。
その結果、マスコミは世論がいつ自らに刃を向けてくるかと怯えている。
つまり、今やマスコミにとって「国民」や「世論」こそ、最大の敵として映っているのではないか。
魔女狩り報道も、自らに標的にされないように、国民の目をそらすために特定の対象をたたき続けているとさえ思えてくる。
(本郷猛)

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