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排出権と投稿ポイント⇒社会統合本位制通貨への転換

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前稿からの続き。
『ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報』2008年 05月 23日「シニョレッジの問題:排出権取引の本質」 [1]からの引用。
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注)シニョレッジとは、通貨発行益(貨幣の額面価値と貨幣製造費用との差額)のこと。

シニョレッジの単位には、19世紀の金本位制、20世紀の石油・ドル本位制、そして今度の炭素本位制がある。炭素本位が金本本位と違うのは、空気という偏在的な物質を単位としているので、幅広い範囲に適用できるという点だ。これは欧州と欧米金融財界が炭素をカネにするという目論見で、1987年のワールド・ウィルダーネス・コングレス、1992年の地球サミット、1995年の京都会議以来、「思想」として、徐々に形成されたものである。

排出権取引では、CDMの形で、途上国に先進国の技術を移転するなど「世界の均衡的発展」を目指す思想も隠れているが、一方でEUが自分達の達成しやすい二酸化炭素排出基準をあらかじめ設定したように、「新しい覇権争い」のニュアンスもぬぐえない。世界の覇権は、エネルギー覇権とシニョレッジ覇権の合わせ技で決まる。

ロックフェラー(=アメリカ)は石油とドルで世界を支配してきた。ところが、ロックフェラー自身も、石油という「シニョレッジ単位」の安定性には疑問を持っていたようで、1987年のWWC4会議には出席している。そして、2006年から2007年にかけて、エクソンのCEOに一族で株主として圧力を掛けて、「温暖化シフト」を早急に行うように要求している。
ともあれ、現在は覇権の移行期であり、行きつ戻りつがあるだろう。しかし、今年の洞爺湖サミットが、「炭素本位制」にむけての「ワシントン会議」(海軍軍縮条約のこと)となることは間違いない。そして、おそらく世界銀行がやがて、世界中央銀行に改組されていくだろう。世銀は以前、「ワールド・コンサーベーション・バンク」というものを、ロスチャイルドやモーリス・ストロングの提唱で作っていた。

炭素本位制とは、炭素という生きていたら絶対排出してしまう物質を単位にしている。つまり、世界を発展させ続けるには、イノベーションと技術移転を繰り返しながら、低炭素なビジネスを開発し続けていかなければならない。それができない国や企業は、先んじている国や企業のドレイになると言う仕組みだ。

ドル・石油覇権体制である現在は、一応、シニョレッジは、アメリカの連邦準備制度に存在することになっている。19世紀の金本位制の時は、イングランド銀行。ところが、最新のグローバル・エリートの計画では、このシニョレッジが、炭素銀行=世界中央銀行(世界銀行?)に移行されて、その下に各国中央銀行と国際決済銀行がぶら下がるという形になる。
各国は企業別、国家別に排出権という通貨発行権を世界中央銀行から与えられて、その上で通貨(クレジット)を発行することになるだろう。これはあくまで私の想像だが、あながち間違ってはいないと思う。副島隆彦は、ドル覇権以後の体制を「コモディティ・バスケット」としたが、この炭素本位制は、石油でも金でも原子力でもあらゆるものを炭素に換算するという思想である。これは、炭素市場を設置することで、炭素とそれ以外のコモディティを取引することで、市場ができるので実現できるという発想だろう。

温暖化CO2原因説⇒排出権は、ロスチャイルドをはじめとするイギリス系金融資本によるエネルギー覇権⇒次代の通貨覇権を狙ったものであるらしい。
しかし、ここで面白いことに気がつく。
炭素本位制=排出権が通貨の裏づけとなるは、どういうことか?
排出権の大義名分は、それが社会(地球環境)のためになるということ。地球環境のために努力し、達成した度合いに応じて排出権が与えられ、それを裏づけとして通貨も発行される。それが炭素本位制だ。
一方で、『るいネット』 [2]というサイトがある。そこでは、秀作投稿・佳作投稿・掲載投稿に応じた投稿ポイントが与えられ、現在は秀作投稿に1万円、佳作投稿に5千円の投稿料が支払われるとのこと。
排出権と『るいネット』の投稿ポイントには、一つの共通点がある。
それは社会の役に立つ行為を何らかの評価指標で数値化する。それは貨幣換算することも可能。つまり、社会統合への貢献度に応じて与えられたポイントを通貨価値の裏づけとする、新しい通貨制度の可能性を秘めたものであるということ。社会統合本位制と呼んでもよい。
これまで通貨価値の裏づけだったのは金や石油などの物財の私有権である(私権本位制と言ってもよい)。ところが今や、通貨価値の裏付けも社会統合への貢献度となる。そんな転換が始まりつつあるのではないだろうか。私権本位制から社会統合本位制への転換である。もし、これが実現すれば、市場原理を共認原理で制御することも簡単である。なぜなら、社会統合への貢献度(→人々の充足度)が市場競争も制することになるのだから。これが「実現の論理」 [3]の実現態である。
誤解のないように、排出権と投稿ポイントに違いも明確にしておく。
排出権は、温暖化CO2原因説という一握りの支配階級によって密室で捏造された騙しであり、その目的は金融資本の私益拡大である。だから、社会のためには全くならない(とはいえ、金融資本でさえ「社会のため」を大義名分にしなければ儲けられない。そんな時代に入ったということは注目に値する。)。
一方、投稿ポイントは『るいネット』という開かれた場で、人々の事実の共認に基づいて与えられる評価指標である。だから、社会の役に立つ。つまり、社会統合本位制を実現する上で要をなすのは、「社会統合に役立つ認識は何か?」を評価する上で必要な(誰もが認めうる)事実に立脚すること、及び、その評価共認をつくる場に万人が参加することである。それで初めて、その評価指標が通貨価値の裏づけとして共認され、社会統合本位制が実現する。
そのような共認形成の場の可能性をもつのが他ならぬインターネットである。
以下の投稿も参考にしてください。
超国家・超市場論1「新しいまつり場は、国家と市場を超えられるか?」 [4]
超国家・超市場論15「認識形成の場こそ、新しい社会統合機構の中核である」 [5]
(本郷猛)

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