ロスチャイルド家の繁栄については、今更多くを語る必要もないだろうが、その敗北の歴史については知らない人が多いのではないだろうか。そこからは、彼らを突き動かしている圧力源が見えてくるかもしれません。
今回は、ロスチャイルド家に対して好意的なスタンスで書かれた書籍「ロスチャイルド家と最高のワイン」からその敗北の歴史を紹介します。

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写真は、紫霄閣 [2]
よりお借りした、当時のロスチャイルドの銀行配置、貸付先国家を示しており、その影響力の程が伺えます。
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○始まりと絶頂期まで
初代ロスチャイルドの息子世代である5人兄弟は、18世紀の終わりから19世紀にかけて、ドイツ(アムシェル)、オーストリア(サロモン)、イギリス(ネイサン)、イタリア(カルマン)、フランス(ジェームズ)での銀行業を礎にして、ヨーロッパの様々な国々で莫大な財産を築きあげた。
1815年のワーテルローの戦いをきっかけにイギリス金融界で圧倒的な力をつけて以降は、ヨーロッパにおける国家、王家、貴族の最大の資金提供者になっただけでなく、鉄道事業にも最大の出資者として参加し、更なる財を得ていく。
ロスチャイルド家は、ヨーロッパ各国に拠点を置くことで、相場変動を抜け目なく利用して、為替取引を大規模に行うことで莫大な利益をあげ、政治経済の権力を握って、金融界のナポレオンとまで言われるようになり、イギリスとその同盟国政府と共謀し、支援金の支払いを長く継続させて、仲介手数料をがっぽり稼いでいた様だ。政府を上手く操って利益をあげる手法は、既にこの時代に形成されていた。おそらく、この頃がロスチャイルド家の絶頂期だったと思われる。
○最初の大破局(1914年~1918年)
19世紀中頃に絶頂期を迎えたロスチャイルド家は、20世紀を迎える頃には衰えを見せ始めて、各国の銀行業はロンドン、パリ、ウィーンの三行になってしまう。それでも、ヨーロッパ列強の軍備拡大に乗じた資金援助により大儲けをする一方で、列強間にヨーロッパでの戦争を避ける様に働きかけたが、以前の様な絶対的な影響力は既に存在していなかった様だ。
1914年に第一次大戦が勃発すると、各国にちらばっていたロスチャイルド家の男たちの多くは、愛国心に燃えて戦場に赴いたという。二千万人もの負傷者と一千万人もの死傷者を出したこの戦争により、ロスチャイルド家もまたおびただしい損失を被った。戦争の結果、敗戦国側の一族は深刻な財政状況となり、ヨーロッパ内での一族の強烈な結びつきは失われていった。
また、ヨーロッパの経済システムが変わって、所得税や相続税が導入される様になったことも、彼らに不利な結果をもたらした。
○ナチスによる恐怖の時代(1933年~)
一次大戦以降は、かつてほどの圧倒的な権力はないものの、政治、社会活動、学術文化方面での貢献、豊かで贅沢な芸術コレクション、数々のスキャンダル、慈善活動、寄付金、パレスチナ・イスラエル入植運動、有名な葡萄園、どれもみなこの一族のとてつもない存在感を取り戻していた。
だがロスチャイルド家のこの有り様が、続く時代の覇者ナチスにとって目の上のたんこぶとなったのである。ナチスは懸命にこのユダヤ人一族の痕跡を取り除いてその財産を奪おうと努めた。はじめは宣伝による非難攻撃だったのが、やがて迫害へと変わっていった。
ロスチャイルド家は、始めから反ユダヤ主義による攻撃対象として狙われており、このユダヤ財閥を悪しざまに描いた娯楽映画が次々に製作され、ユダヤ人の人権剥奪、強制輸送、民族殺戮へと暴走していった。
ドイツでは、ロスチャイルド家の所有する邸宅、財団法人、慈善施設等は没収されるか、二束三文で強制的に買い取られた。オーストリアの分家はイギリスに亡命し、フランスでは住居、財産、そのほとんどを没収されてしまう。イギリスの分家だけは、直接ナチスの脅威にさらされることはなかったが、空襲による戦争の恐怖を味あわされた。
第二次大戦は、ドイツの敗北で幕を閉じたが、この戦いによってヨーロッパにもたらされた荒廃と破壊と根絶についてはすさまじいものであり、ロスチャイルド家であっても逃れることは出来ず、一族の二人の女性はナチスの殺戮装置の犠牲となった。
○残る圧力源=活力源はなにか?
彼らの成功の歴史には、常に圧力が働いてきた。貧困、マスコミ、ナチス、大衆、戦争。。。
この強力な圧力下で、常にその圧力をはねのけてきたのが、彼らの歴史だったともいえるだろう。
初期の繁栄の絶頂期までの圧力は、間違いなくユダヤ人としての迫害圧力であろう。
この成功に至る以前のユダヤ人は、ユダヤ人街にしか住むことを許されず、ひたすら迫害を受けていた。成功後でも、その圧倒的な力を持ったことからくる妬みは、決して消えなかった様だ。
初期絶頂期以降は、その圧倒的な力を持ったことから生じる大衆の妬みが、彼らを悩ませた。その煽動的な役割を握っていたのは、当時のマスコミであり、ときには暴動に至ることもあったという。
現在、ユダヤ人への偏見は、いまだ消えてはいないのだろうが、もはや彼らの存在を脅かすものではない。
マスコミについては、ここのブログ記事 [3]で紹介されている様に、アメリカに於いてはそのほとんどを既に手中に入れている。
メディアを押さえている限りは、政治の間接支配も可能だから、国家も圧力源とはいえないだろう。
とすれば、残るのは同じ国際金融資本家=ロックフェラーからの同類圧力のみということか。
第二次大戦のナチスとロックフェラーとの関わりは、あちこちで囁かれる話ではあるが、ヨーロッパを中心に強大な力を持っていたロスチャイルドの力を、戦争によってヨーロッパ丸ごと奪いとろうとした結果であると想定すれば、なんとも壮大な話であり、この敵対関係は簡単には解消されないのではないだろうか。
かつてのロスチャイルド家の繁栄の礎は、兄弟間の絆だったと言われているが、近年、ばらばらに見えたロスチャイルド陣営にかつての結びつきを取り戻す動きがあった。2003年のフランスとイギリスのロスチャイルド銀行の合併である。この動きは、力を増していくロックフェラーへの対抗措置であることは否めないだろう。戦いはまだまだこれからといったところでしょうか。