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ヨーロッパの石油支配の歴史

ピークオイル説の追求が盛り上がっていますが、現在からはちょっと時代を溯って、ヨーロッパでの石油産業の始まりと金融の関係を紹介します。今回の主役はフランスのロスチャイルド家 8)
日本人が知らない恐るべき真実 [1]」では、『赤い盾』(広瀬 隆 著)の要約が行われていますが、そこから抜粋して紹介します。
ちょっと長くなりますが、まずはご一読あれ。応援もよろしく

○フランスの金融
フランスの“世界一の企業”が数十社にも達することは、知られていない。
ヨーロッパの金融メカニズムを知らない日本人は、アメリカ人がウォール街を動かしていると勘違いしているようだが、ほとんどの合併・買収はロスチャイルドの投資銀行家に託されてきた
ソロモン・ブラザース、リーマン・ブラザース、クーン・ローブ、ゴールドマン・サックス、セリグマン、ハンブローズ、ヒル・サミュエル、モルガン・グレンフェル、ディロン・リード…
イギリス人だけがBPとシェルによって莫大な石油利権を手に入れているのではなく、ロンドンのロスチャイルド家が利益を手にして、ヨーロッパ全土のロスチャイルド家に分配している。つまり、工業界をドイツ人の勤勉さに託し、金や石油などの資源取引きをシティが管理し、地中海を中心とする総合的な流通メカニズムと軍事輸出・原子力帝国をフランスのオート・バンクが監視するというようになっている
ただし、主人公はひとり、ロスチャイルドである。

○石油産業と金融
ヨーロッパの石油成金と名づけた系図では、ヨーロッパ最大の石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルと、第二位のBP、イギリス最古のバーマー石油、現代の中東紛争の震源地イラク石油、そしてフランスのシェル・フランスとアンタール石油、世界一の石油探査会社シュルンベルグなど、すべての石油支配者がロスチャイルド一族であることを証拠づけている。
ここではフランスの石油産業と、フランス銀行と、フランスの大富豪のただならぬ関係について述べよう。
驚くべきこの成金の系図は、石油支配者がそのままそっくり二百家族を形成し、同時にフランス銀行の理事であることを明らかにしている。
プロの銀行家であれば必ず知っているミラボー銀行、ヴェルヌ銀行、ヌフリズ・ジュルンベルジェ・マレ銀行の創業ファミリーが見事に一族を形成し、フランス第三位の銀行クレディ・リヨネの会長ブロソレットに、フランス銀行の理事から副総裁まで、すっかりロスチャイルドに手なずけられ、首に“五本の矢”の印がついた首輪をはめていたのである。

○ヨーロッパの石油物語
バクー油田の開発史は、次のようなものであった。
1875年、バクー油田は、ダイナマイトのノーベル三兄弟によって利権が取得され、四年後にはノーベル兄弟石油が設立された。
ノーベル兄弟が実用化した連続蒸留法によって、1883年にはバクー油田の生産が順調に開始され、この販売を一手に引き受けることになったのが、ロスチャイルド家であった。
この年、すでにアメリカ大陸では石油王ロックフェラーが全米の石油を手中に収め、「スタンダード石油の他には石油会社はない」と言われる一時代を形成していた。
一方、ドイツ工業界は、ゴットリープ・ダイムラーが自動車用のガソリン機関を発明し、カール・ベンツがこれに続いてガソリン・エンジンの発明に成功したのである。
ドイツの時代が到来した。しかし、石油の販売権は、パリのロスチャイルド家が握っていたのである。
ロスチャイルド家は、1886年にカスピ海・黒海会社を設立して、本格的な石油投資を開始した。
ヨーロッパは石油を巡って激しい戦場となりはじめた。
オランダ人アイルコ・ジルカーがロイヤル・ダッチ石油を設立すれば、ロックフェラーが進出してアングロ・アメリカン石油を設立、ここにロスチャイルドのサン石油との戦いに突入し、販売合戦が展開された。
1895年には、ついにロックフェラー、ロスチャイルド、ノーベルの大同盟が結成されたが、それはあくまで表面上の休戦であって、この虚をついてヨーロッパを征服しようと目論んでいたのがロックフェラーであった。
1899年、ロックフェラーはドイツに投資を続け、ドイツ・アメリカ石油への資本参加、ドイツ・ヴァキューム(後年のドイツ・モービル石油)の設立などによって攻勢をかけ、これで優位に立ったと判断した時、お得意のダンピング作戦に出たのである。明らかな協定違反であった。
これで怒ったロスチャイルドは、徹底的に叩き潰すようヨーロッパ全土に指令を出した。
たとえロックフェラーでも、ヨーロッパでは無理なのである
20世紀に突入する前年、この戦いはロスチャイルド・ノーベル連合軍が勝利を告げて幕を閉じた。

さて、ロスチャイルドはどうやって販売合戦に勝ったんでしょうか?
それは、寝技 です。

○一家族支配
シェルとBPというヨーロッパの二大石油会社は、ライバルどころか創業時代からすでにロスチャイルド家が両方の株を握り、そのうちかなりのものをフランス家が保有していたことになる。
かくしてシェル・フランスの創業者ドイッチ家は、自らロスチャイルド家となり、フランス銀行の金庫とスエズ運河の堰を自由に開けたり閉じたりしながら、際限なく富を蓄える大財閥となった。
これをスイス・ジュネーブ出の強欲な銀行家たちが指をくわえて眺めているはずもなく、ミラボー銀行、ヴェルヌ銀行、マレ銀行といった古典的ブルジョワが寄ってたかって嫁を差し出し、婿を選んで、あっという間に“一家族”になってしまった
ドイッチ家と並んでもう一つの世界的に重要なオイル・ファミリーがある。
広大な砂漠や海底に石油を掘り当てる作業は、それほど容易ではない。この探査を業界では、油田検層と呼び、地質調査をおこなう専門家が存在するが、その世界最大の企業がニューヨークにあるシュルンベルジェ社である。
ジレ家はロスチャイルド家にとって最強のライバルとして君臨してきた工業家であったはずだが、ペシネー社とローヌ・プーラン社のいずれも、植民地への侵略と石油・原子力の世界ではロスチャイルドと手を組まずには成長することも叶わず、一家族への統合が果たされた。
石油をめぐる争いと、そこから得られるガソリンを使う自動車開発と、石油を精製する化学工業の発達が同時に進行してきた。
20世紀に突入した時、社会を動かす力は、これらの産業に大きく依存していたのである。

石油問題はヨーロッパでの2度の大戦の始まりにも関与しており、彼らの世界支配においてはエネルギー問題は避けては通れない問題なんだと思う。現在のピークオイル説の動きについては、ロスチャイルド家の寝技支配国家であるフランスの動きにも注目する必要があるだろう。

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