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世界石油価格指標WTIって何?

ここ最近、石油価格が大きく上昇しています。
現在石油価格はアメリカニューヨークの先物取引WTIが世界の標準指標となっています。
このWTIというのが、どうも曲者と私は考えているのですが、WTIって一体なんなのでしょうか?
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世界の石油価格はアメリカできまる。
池上彰の『解決!ニュースのギモン』原油価格の決まり方 [1]

アメリカ原油は「テキサス産」だ
世界の原油は、主に北米、中東、北海(欧州)の3カ所で産出されます。それぞれに取引される市場があります。
このうち北米産油を取引するニューヨークの「マーカンタイル取引所」で最も活発な取引が行われているため、ここで決まった価格が、中東や北海産の原油価格にも大きな影響を与えているのです。
ここで取引されている重油とは、厳密に言えば「先物」。つまり、実物の重油ではなく、「実物を買うことのできる権利」を売買しているのです。
北米産の代表的な原油は「WTI」(West Texas Intermediate)と言います。「西テキサスの中質油」という意味ですね。

(中略)

テキサスといえば、そう、ブッシュ大統領の地盤ですね。ブッシュ大統領自身、石油業界で仕事をしてきましたし、支持母体は石油業界です。
でも、実はここでとれる原油の量は、1日あたり40万バレル。世界の生産量のわずか1%にも満たないのです。

世界の生産量に占める割合は低いのですが、この原油が、ニューヨークの取引所では1日に何回も取引されますから、取引量は、のべにして世界全体の生産量の2倍以上になっているのです。
取引量が圧倒的に多いので、ニューヨークの市場での取引価格が世界の原油の取引価格の指標になっているのです。

(中略)

原油が取引所で盛んに取引されているということは、株式市場と同じようなものなのです。
株価が、「これから値上がりしそうだ」「値下がりするかも」という思惑で上下するのと同じように、原油価格も取引参加者の思惑で変動するのです。
夏の観光シーズンが近づくと、夏休みの長距離ドライブに出かける人が増え、ガソリンの需要が高まるため、原油価格も値上がりする傾向があります。
冬の暖房シーズン前にも同じような動きになります。こうした実際の需要の動きによって価格が変動することもありますが、実際の需要とはかけ離れた投機的な動きが起きることもあるのです。
石油精製工場は、産油地に近いアメリカ南部に集中しています。このため、大型のハリケーンが直撃すれば、精油所の操業はストップします。2005年夏には、こうしたことが何度も起きました。
そうなると、「精油所の操業が止まるから、ガソリンの供給が減るな。その分、値段が上がるだろう。よし、その前に買い占めておこう」という動きが出て、原油を買い占める人や会社が急増。原油価格は上昇しました。
まさに投機です。アメリカの投資家による金もうけの場となっているのです。アメリカの企業年金基金などのファンドの資金が大量に流れ込んだと言われています。
その後は、「いつまでも高値が続くわけはないだろう。よし、値下がりする前に売っておこう」という動きが出て、価格は値下がりしました。このところは、比較的落ち着いた値動きになっています。
それでも、夏場の価格高騰で、冬場に仕入れる石油の価格が決まってしまいました。
世界の原油価格はアメリカの影響を受ける
投機で上がったのはアメリカの原油先物で、中東産の原油も北海原油も、取引されている市場はそれぞれ別の場所にあります。原油の質も異なります。だから関係ないはずなのですが、そうはいきません。同じ原油ということで、アメリカの値動きに左右されます。
日本が輸入している原油は、アラブ首長国連邦のドバイ原油を中心とする中東産です。中東産油国は、オープンな市場で原油が自由に取引されるのを嫌い、閉鎖的な市場を形成しています。自由に価格が決まるのではなく、アメリカのWTIの価格より少し安い価格で売買される仕組みにしているのです。
このため、ニューヨークの取引所で原油価格が上昇すれば、ドバイ原油も値上がりします。日本が輸入する中東の原油も値上がりし、私たちがガソリンや灯油の値上がりに悩まされるというわけです。
アメリカ国内のローカルな事情によって、中東産を使っている私たちにまで影響が出るというわけです。迷惑な話ではあります。

世界生産量わずか1%に満たない石油が、世界の石油価格を大きく左右していることに、まず驚きです。しかも取引されている場所はアメリカ。しかもブッシュのお膝元テキサス。臭すぎる。
アメリカは現在石油メジャーとしての影響力は過去と比べ大きく低下していますが、価格形成力という点で未だに世界の石油を牛耳っているとも言えます。まして株と同じ自由市場であれば、石油にまつわる情報によって、価格を操作することも可能・・・・?
もっと追求してみる必要がありそうです。

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