- 日本を守るのに右も左もない - http://blog.nihon-syakai.net/blog -

アメリカ経済の暗い先行き

 %E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB.jpg
アメリカ経済を動かしてきた、不動産バブル、企業買収パーティーが相次いで終わりを告げた。
”仕掛け人”は既にアメリカを見捨てたのか?
 金融システムでバブルを捏造し、消費を産み出す経済の先行きは暗い。 アメリカの経済動向が世界に及ぼす影響を睨みつつ、根本的に違う方法論を探すことに活路 はあると思う。
悪化するアメリカの経済状況を
「田中宇の国際ニュース解説」
アメリカ発の世界大恐慌が起きる [1]
国際金融の世界収縮

の2つの記事から紹介します。
お願いします

■住宅バブル拡大の流れ
 アメリカ経済は、2000年から01年にかけて、株価の下落と911事件によって不況に陥ったが、その後、しだいに活況を取り戻し、現在に至っている。そして、この景気回復を支えてきたのが不動産バブルだった。
 金利変動型ローンは、低金利の時には一般のローンより返済額が少ない。住宅の値上がりがひどくなり、一般の人々に買えない価格帯まで上がっても、金利変動型のローンなら返済できる状況の人が多いため、金融機関はさかんに金利変動型を人々に勧め、契約高が増えた。
 同時に、最初の何年間かは利払いだけで元本の返済が必要ない、利払い先行型ローンの契約も急増した。このローンを組んだ人の多くは、住宅価格がもっと上がると思い込んだ人々で「元本の返済が始まるころには、住宅価格が上がり、転売して利益を上げられる」と考えてローンを組んだ。
 これらのローンが宣伝された結果、通常のローンでは住宅を買えないような人々が、潜在的に無理なローンを組み、値上がりを見込んで住宅を買い、04年から05年にかけて、バブルの規模を大きくした。金利変動型ローンは、04年には新規ローンの1割前後だったのが、05年には半分前後にまで急増した。
■金余りから高リスク商品市場活性化
 
 アメリカの金融市場は昨年来、産油国や中国、日本など世界から巨額の投資資金が流れ込んで「金あまり」の状態で、債券市場でも、高リスク高利回りの商品がよく売れた。
 アメリカでは、住宅ローンの債権が債券化され、公社債市場で流通している。金融市場をおおう金あまり現象の中、サブプライム・ローンの債権を組み合わせた高リスク・高利回りの債券はよく売れた。
■金利上昇によりローンが払えない人々
 石油価格の高騰が物価全般に波及してインフレが拡大してきたため、抑制のため連銀は04年6月から利上げに入り、短期金利は1%から5%近くまで上がっている。 金利上昇のため、住宅ローンの負担も大きくなり、家を買おうとする人が減った。
ローン返済不能者が増える中で、それらの債券は不良債権と化し、価値を下落させている。
■住宅バブル崩壊から高リスク商品市場崩壊へ
 最近、米大手投資銀行のベアースターンズが昨年から運用していたサブプライム・ローン債権の投資基金(ヘッジファンド)が破綻し、価値がほとんどゼロになってしまったと発表された。
 ベアースターンズの投資基金の破綻をきっかけに、金融市場では、高リスク高利回りの債券投資に対する投資家のリスク感覚が急に鋭くなった。
 それは住宅ローン債権の分野だけでなく、高リスク高利回りの金融商品として最近急拡大したもう一つの分野である企業買収(LBO)資金の債権にも波及した。
■大損したのは誰か
 住宅ローンや企業買収資金の高リスク債券の下落は、それらの債券を買っていた人々を大損させているが、誰がどの程度の損を被っているのか、まだ分かっていない部分が大きい。
 高リスク債は、以前はヘッジファンドなどが手を出す分野で、リスクをとることに慎重な年金基金などは、手を出さないものと考えられていた。しかし、米シティグループの調査によると、ここ1-2年の世界的なリスク・プレミアムの低下やリスク軽視の風潮の中で、今や高リスク債の40%は、年金基金や銀行などの、いわゆる堅気の金融機関が保有している。
 大手銀行の中でも、イギリス系のHSBC(香港上海銀行)は、住宅ローンの高リスク債の分野で不良債権が急増し、この分野で半年間に63億ドルの損失を計上したと発表した。日本では野村證券が、サブプライムのローン債券で損失を出したと発表している。
■株価の下落要因に
 高リスク債市場の崩壊は、株式市場にも影響を与えている。企業買収ブームは、株価を押し上げる大きな材料になってきた。最近の米英などの株式市場では、企業買収が行われるごとに株価が上がり、今後買収の対象にされそうな企業の株を買う投資家も多かった。買収が株価をつり上げ、株価が上がるので買収が次々に行われる、という循環になっていた。
 この循環を支えていたのが、高リスク高利回りの買収資金債券に対する旺盛な需要であり、その背景にあったのがリスク・プレミアムの低さ、リスク軽視の傾向だった。高リスク債市場の崩壊で、この循環が失われた。
 7月25日にクライスラーなど米英2社の企業買収資金の債券が売れ残っていると発表され、高リスク債市場の崩壊が顕著になったが、その直後、7月26日と27日に、ニューヨーク株式市場が急落した。株価の下落は東京やロンドンなどにも及び、世界同時株安となった。
■円高ドル安
 日本との関係では、最近の円安ドル高の主因となっている「円キャリー取引」が終わりになり、反対売買によって円高ドル安になっていく可能性がある。円キャリー取引は、ほとんどゼロ金利の日本で円建てで資金を調達し、それをドルに転換して高利回りのアメリカの債券や株式を買うやり方だが、高リスク債市場の崩壊は、高利回り投資先が失われることを意味し、円キャリー取引の減少につながる。
 ここ数日、円高ドル安の傾向になっているが、これは円キャリー取引の清算で反対売買が行われているからだろう。アメリカの株価が下がらなければ、円キャリー取引は今後も続き、円安ドル高が維持されるだろうが、株価が下がると取引が清算され、円高になる。
■アメリカの消費冷え込み
 アメリカの不動産市況が崩壊すると、アメリカの消費全体が冷え込み、もう日本や中国など世界からの輸出品を気前良く買ってくれる市場ではなくなる。アメリカが不況に陥ると、アメリカに輸出することで経済成長を遂げていた日本や中国など、世界経済の全体が悪化することになる。ニューヨークやマイアミでマンションが売れなくなることは、世界不況の引き金を引きかねない。
 90年代の日本の不動産バブル崩壊と、今起きかけているアメリカの不動産バブル崩壊の重大さの違いは、世界への波及である。日本のバブル崩壊は、日本人を困らせただけだが、アメリカのバブル崩壊は、世界中の人々を困らせる。
 米国民はすでに、5年間で住宅ローンの借り入れを80%増やし、クレジットカードの借り入れも60%増えた(この間に給料は34%しか増えていない)。クレジットカードの返済が滞っている人の割合は5%近く、史上最悪となっている。もはやアメリカは、国民も政府も消費しすぎて借金漬けである。今後、新しい信用創造メカニズムが発案されたとしても、延命できるのはあと何年かであり、いずれ消費できなくなる。

[2] [3] [4]