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EU経済(通貨)統合への過程②

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続いてユーロ参加国、ユーロの運営について見ていきたいと思います。
参考 EU経済(通貨)統合への過程 [1] EUにおける通貨統合 [2]
EUに2004年5月に加盟した10か国及び2007年1月に加盟した2か国のうち、2007年1月にユーロを導入したスロベニアを除く11か国(ユーロ非参加国)は、可能な限り早期のユーロ導入を望んでいますが、財政赤字やインフレ率といった経済収斂基準を満たすには相当な期間を要すると見られる国もあるようです。
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ユーロの導入                                                  銀行間取引など非現金取引を対象に、単一通貨ユーロは1999年1月1日から導入された。同時に欧州中央銀行による統一的金融政策が開始され、ユーロ圏各国は独自に金融政策を行う権限を失った。この時からユーロに参加したのはドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、オーストリア、フィンランド、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグの11か国であり、経済収斂基準の達成が間に合わなかったギリシャは2001年1月から遅れてユーロに参加した。一方、これら以外のEU加盟国(英国、デンマーク、スウェーデン)は、国内世論の支持が得られなかったこと等によりユーロへの参加を見送った。
●.ユーロ非参加国                                                        EC条約においては、EU加盟国は、基本的にEMU(経済通貨同盟)に参加し、単一通貨ユーロを導入することが想定されている。但し、EC条約第122条に適用除外規定(オプト・アウト)が認められており、英国とデンマークは適用除外が認められている。また、一定の経済収斂基準を満たしていない国(スウェーデン及びスロベニアを除く2004年及び2007年加盟の11か国)は、「Member States with a derogation」(ユーロ非参加国)として、条約の規定の一部及び欧州中央銀行制度(ESCB)の権利義務の一部の適用を除外されている。
ユーロの運営
現在、ユーロは、ESCB(欧州中央銀行制度)及びECB(欧州銀行)により、運営されている。ESCBは、EU全加盟国中央銀行から構成されており、ユーロを採用していない加盟国中央銀行も含まれている。ECBは、 ESCB及びユーロシステムの中心に位置する機関であり、ESCB及びユーロシステムに課せられた任務を、欧州中央銀行制度法に基づいて行動、又は各国中央銀行を通じて、確実に実施する。
ここでは、ユーロを運営しているESCBを、「ドロール報告」以降の経済・通貨統合のたどってきた経緯とともに見ていく。ESCBの設立にむけて、EMU(経済通貨統合)は3段階に分けて進められてきた。
・第1段階(1990年7月-1993年12月):域内市場統合の促進
人、物、サービスの移動の自由化
中央銀行総裁会議(EC各国の中央銀行総裁の集まり)の機能強化
・第2段階(1994年1月-1998年12月):マクロ経済政策の協調強化
経済収斂基準の達成(ユーロに参加する条件として各国がインフレ率、政府財政赤字等、定められた基準を達成する)
欧州通貨機構(EMI)の創設
→1998年5月に第3段階当初からの参加国を決定
・第3段階(1999年1月から):経済通貨統合の完成
単一通貨ユーロの導入
欧州中央銀行(ECB)による統一金融政策の実施
→2002年1月よりユーロ貨幣の流通開始
●政治からの独立性
マーストリヒト条約では、EMU第3段階で設立されるECBに対して、その権限の行使又は任務の遂行の際は、EU各国政府やEU諸機関からのからの独立性が保障されており、域内各国には第2段階終了までに自国の中央銀行の機構改革を実行すること義務づけられた。
ECBは、ドイツのブンデスバンクをモデルとしており、ECBが実施する金融政策や単一通貨に対して、内外からの信任を得ていくためにはブンデスバンクのような高い独立性が必要となると考えられていた。

ユーロは、ドル一極支配体制に代わる基軸通貨として機能し始めており、今後の多極化世界における経済の中心的役割を担っていくことが予測されます。
しかし、今後EUが経済的にも政治的にも統合、自立していくためには、石油・ガスを依存しているロシアとの関係をどうしていくのか、或いはアメリカ絶対支持のイギリスや親米反ロと言われている東欧(ポーランド、チェコetc.)をどう組み込んでいくのか、といった課題はまだまだありそうです。これらの国の動きには、世界情勢を分析する上でも注目していく必要があります。

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