『G8が問う世界:’07サミット/2 露と米欧、深まる亀裂』 [1]
(毎日新聞 2007年5月24日)
生産量で世界最大の天然ガスと2位の石油を擁するロシアのプーチン政権は、その天然資源を武器に大国主義路線を強めている。昨年から今年にかけては、ガスや原油の欧州向けパイプラインを一時停止するなどし、欧州を大混乱に突き落とした。イランなど他のガス産出国とともに石油輸出国機構(OPEC)をまねた国際カルテルの創設にも動き出している。
同様の動きは中南米の急進左派政権などにも広がっている。ベネズエラは石油、ボリビアは天然ガスの国有化を一方的に宣言、外国企業の権益を縮小させた。これらの国々は、米欧との緊張関係にあるという点でも共通している。
「ニュー・セブン・シスターズ」。エネルギー市場の新たな主役を英紙フィナンシャル・タイムズは最近、こう命名した。従来の「セブン・シスターズ」はエクソンモービルなどの米欧系メジャー(国際石油資本)。これに対し、新しい「セブン」はロシアのガスプロムやイラン、ベネズエラ、中国などの国営企業だ。メジャーが生産する石油・ガスの量は世界の1割に過ぎないが「ニュー・セブン」は3分の1を占めるという。
世界の総エネルギー需要は、これからも後進国を中心に増加の一途を辿り、2030年には2000年比で約1.7倍にも達する見通しとなっています。このような状況にあって、世界各国のエネルギー外交が、今後いっそう激化していくことは想像に難くありません。
そこで、世界各国のエネルギー外交の現状把握と今後の動きを予測するための資料として「世界の総エネルギー需要に対する、国、または地域別のエネルギー生産比率」を調べてみました。
そこから見えてくるものとは。。。
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※外務省のHP「エネルギー基礎統計」 [2]のデータに基づいて表を作成しています。
<表の見方>
世界の総エネルギー需要の95%を占める4つの資源(石油、石炭、天然ガス、ウラン)について、その総需要に占める各資源別の割合を表上部の黄色の部分に表記しています。
そしてその下に、各資源に占める、国、または地域別の生産量の割合を表記し、さらに表右端のオレンジ色の部分には、世界のエネルギー需要に占める国、または地域別の生産量の割合を表記しています。
さらに、上記主要国におけるエネルギー輸入依存度を調べてみると。。。
・日本 84%
・米国 28%
・中国 3%
・ロシア -73%
となっており、これらのデータからエネルギー外交におけるロシアの優位性が突出している状況がよくわかります。(米国はエネルギー資源の生産量は多いが、消費量も多いため、結果的には28%もの輸入に頼らざるを得ない状況にある)
世界のエネルギー外交の動向については、今後も引き続き調査、追及していきたいと思います。